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ＪＭＴＳＰアメリカ音楽療法だより（９２）

ＪＭＴＳＰアメリカ音楽療法だより（９２）

2013年11月12日(火) 14:39
カテゴリ: Facebook, Twitter, お知らせ, アメリカ, 健康・福祉, 国際, 日本, 音楽, 音楽療法
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伊賀音楽療法研究会から世界音楽療法の最新情報が送られてきた。

伊賀音楽療法研究会メールマガジン１１月号(No.148)

[世界音楽療法情報]
ＪＭＴＳＰアメリカ音楽療法だより（９２）
　こんにちは、以前にも何度か記事を投稿させていただきました鎌原大です。今月号は私が再び担当させていただきます。唐突ではありますが、今年の８月に転職いたしました。以前はカリフォルニア州リバーサイド郡立の措置入院専門の精神病院でリハビリテーション・セラピスト（以下RT)として働いていましたが、新しい職場は同じくカリフォルニア州なんですけれど、プリズン．．．そうカリフォルニア州立の刑務所で働いております。今回は転職活動を行っていた時に自分が感じた事を皆さんにシェアしたいと思います。
　以前就職活動をしたのはかれこれ１０年前。その時に比べると断然現在の方が音楽療法士の求人情報が増えていました。以前の職場はインターネットの求人サイトで見つけたのですが、その当時は片手で余る程の数しか音楽療法士の求人情報を見つける事ができませんでした。しかし現在では下はフロリダ、テキサス、カリフォルニア州から上はアラスカ州まで沢山の州で沢山の音楽療法士の求人広告を見つける事ができました。その中でも特に多かった求人が精神科の音楽療法士。この１０年で確実に音楽療法士の仕事はこのアメリカで認知されてきているのを実感でき嬉しく思いました。それと同時にまだまだこれからだ～と思わされる事も幾つかあった事も否定できません。
　例えば現在の職場の私の肩書はレクリエーション・セラピストです。
そう、音楽療法士では無いのです。私は音楽療法士の資格（MT-BC）と同時にレクリエーション・セラピストの資格（Certified Therapeutic Recreation Specialist、通称CTRS）を保有していましたので、現在の仕事に就く事ができました。カリフォルニア州立の施設の中で精神病院やデベロップメンタル・センターと呼ばれる主に発達障がいの方の為の長期施設では、音楽療法士はRTの一員として、レクリエーション・セラピスト、アートセラピスト、ダンスムーブメント・セラピストなどと一緒に働いておりますが、何故かプリズンだけは同じＣＡ州の施設でもレクリエーション・セラピストのみを現在雇っています。
　私個人の一見解なのですがアメリカで世間一般的には音楽療法はレクリエーション・セラピーの一部みたいに見られているのではないかと感じられる事が多々ありました。と言いますのも転職活動を行っていた時に、幾つかの施設（特に病院）が正規でレクリエーション・セラピストを探していて、音楽療法士は臨時・パートタイムだったからです。また、とある施設ではRTとRT責任者を同時に探していたのですが、RTは音楽療法士でもそのポジションに就けるのですが、RT責任者はレクリエーションセラピストのみという求人広告もありました。
　音楽療法とレクリエーション療法を両方のセラピーを勉強した身としましては、音楽療法とレクリエーション療法は全然違うし、音楽療法の方が専門的にもっとセラピーを勉強しているぜ～と声を上げて叫びたい気持ちが実はあるのです。しかしながら音楽療法士がプリズンでも働ける様になるには、政府の政策に介入し政治的に働きをかけCode of Regulationと呼ばれるものを書き換えないといけないのです。それを書き換えさせるには、音楽療法がプリズンでいかに有効なセラピーであるかを示す研究結果も必要となるでしょう。これら全て私一個人では行えることはできません。ですので必要なのがサポートグループ、支援団体です。
　現在、私は、米国音楽療法協会（American Music Therapy Association、通称AMTA）と米国レクリエーション療法協会（American Therapeutic Recreation Association,通称ATRA)の会員です。学生の頃や仕事をし始めた頃は、こういう団体は年会費は高いし、会員でいても特に何のベネフィットも無いし、もったいな～いなんて、思っていました。しかしながら、最近はこの様な団体の必要性そして重要性をヒシヒシと感じます。アメリカでしたら、この様な団体がロビイスト（Lobbyist）を雇って政府の政策に関わり、Code of Regulationを書き換えを行う一般的です。因みに現在ATRAではメディケイド（Medicaid：民間の医療保険に加入できない低所得者・身体障がい者に対して用意された公的医療制度）でレクリエーション療法をカバーできる様にワシントンDCの方で活動行っています。これが認められると、かなりレクリエーション療法の仕事の数が激増すると言われています。AMTAも頑張れ！と何度も思った事か。。。
　この伊賀音楽療法研究会も支援団体、サポートグループですね。「地元に音楽療法の息吹を吹き込みたい」というフィロソフィーを土台にして発足された研究会だと伺いました。皆さんとはアメリカ、日本と場所は違っても同じ音楽療法いう名の下に集まりました同志です。コレからも、沢山の方々に音楽療法の良さ、素晴らしさを知って頂ける様にお互いにがんばりましょう。私はプリズンで音楽療法的活動を行って、良い結果をだしていきます。
　何かご質問がございましたら、SAKOMT＠HOTMAIL.COMまでご連絡ください。ご精読ありがとうございました。鎌原大

[編集後記]
先日歌手の島倉千代子さんが亡くなられましたが、昭和の時代を歌手として一世を風靡した方々が次々と亡くなられるのは淋しい限りです。同時代を生きた方々に対して音楽療法が提供されている場合、亡くなった歌手を偲んで当時を思い出し、当時流行した歌を歌うことがしばしばあります。おそらく来週の歌声サロンとかでは、「東京だよおっ母さん」や「からたち日記」とかが歌われるんでしょうね。故人を偲んで歌を歌うこともある意味音楽療法なのかも知れません。(い)

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