JMTSP アメリカ音楽療法だより(91)
- 2013年10月14日(月) 22:00
- カテゴリ: Facebook, Twitter, お知らせ, アメリカ, 健康・福祉, 国際, 日本, 音楽, 音楽療法
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伊賀音楽療法研究会から世界音楽療法の最新情報が送られてきた。
伊賀音楽療法研究会メールマガジン10月号(No.147)
[世界音楽療法情報]
JMTSPアメリカ音楽療法だより(91)
メルマガ読者の皆様、ご無沙汰しております。岡本稔です。前回の投稿が2010年10月になりますので、丸3年ぶりですね。今でこそ、私も所属するJMTSP(Japanese Music Therapy Students and Professionals)のメンバーが持ち回りで担当してくれていますが、もともとの始まりは、メルマガ編集長の乾さんのご好意で、当時フロリダで院生として約2年に渡って投稿したのが最初でした。2004年3月からですので、歴史を感じます。
2005年10月より現在の職場である、カリフォルニア州矯正医療施設の精神衛生プログラムの緊急病棟にリハビリテーションセラピストとして勤務しています。リハビリテーションセラピストと言っても実際は名目上で、私の職場では、音楽療法士、レクリエーションセラピスト、芸術療法士が「総称」としてリハビリテーションセラピストとして勤務しています。月日が経つのは本当に早いもので、同僚と比べてもだいぶ「古株」になり、今では24人からなるリハビリテーション科のまとめ役を任されるようになりました。といっても、自分の所属する病棟でもセラピストとして勤務しているので、毎日が怒濤のように過ぎて行きますが、色々な事を吸収しながらなんとかやっています。今メルマガでは、昨年立ち上げた音楽療法インターンシップについて、開始までの手続きやプログラムの内容などを踏まえながら紹介していこうと思います。
現在、全米音楽療法協会(以下AMTA)が認可している音楽療法インターンシッププログラムは、カリフォルニア州で26あります。その内の1つは、このメルマガでもご存知だと思いますが、鎌原大作さんが音楽療法プログラムのディレクターとして立ち上げたOasis Rehabilitation Centerです。そこでインターン生として経験を積んだ方達にもこのメルマガをお願いしていますので、もしかすると皆さんもご存知かも知れませんね。ちなみにこの26という数字ですが、様々なポピュレーションを合計してのものです。インターンシッププログラムを立ち上げる為には、まずAMTAが定める申請書並びに、細かい規定に沿った書類を揃えるところから始めます。その内の1つに、インターンシップの概要を明記したファクトシートがあります。このファクトシートですが、施設の立地、対象者の内容、プログラムの規模、インターンで求められる時間数、スーパービジョンの形態、対象者に対する医療行為の形態や説明、実際に提供されている音楽療法の内容、インターンを開始するにあたって求められる医療知識や演奏技術、施設内に勤務する音楽療法士の紹介、医療チーム内の役職、インターン中に受ける研修の種類と内容、住居施設や食事提供の有無、インターン中の支払われる給付金、施設周辺の交通機関、損害賠償保険の説明、その他、健康診断、ツベルクリン反応テスト、薬物スクリーニング検査、指紋検査などが明記され、ファクトシートを読むだけで、インターンに関する内容が大まかに分かる内容になっています。
AMTAに提出するその他の書類としては、音楽療法に対する視点、インターン生を研修する事に関しての考え方などエッセイ式での回答、インターン中のタイムテーブル並びに研修内容を明記した3つの異なるスケージュール表、インターン生が研修中に達成する為の3つの目標明記、インターンシップ申請書、研修説明書/マニュアル、インターン生の評価表、インターン生が使うインターン施設に対する評価表、不正行為に対する解雇方針を明記した書類、インターンシップディレクターやスーパーバイザーの履歴書、職場を統括する者からの推薦状、インターンシップディレクターへの推薦状2通、インターン生を研修する為に必要な研修を受けた事を証明する書類など求められます。膨大な書類の数になるので、やはり一度で認可の知らせを受ける事は難しく、書類の不備や手直しが必要であれば、その都度連絡があり、再度提出を求められます。このような手続きを繰り返し、最終的に認可を受けます。
施設にもよると思いますが、私の職場は州の管轄の為、インターン生の募集に対しても、一般の職員募集と同じ方法で行います。まずは、カリフォルニア州が管轄するホームページにて定められた期間募集をします。州で共通して使用される申請書の他に必要書類としては、6つの質問事項を含んだインターンシッププログラム独自の申請書、成績証明書、推薦状3通、履歴書、担当教授からの評価並びにインターンを開始できるという旨の証明書、規定に沿ったピアノやギターの実技を収録したDVDを提出してもらいます。このような書類が揃った中から、書類選考をし、パスした申請者に面接をします。2年目の今年は、職場のインターンプログラムが広く認知されたのか、最終的にカンザス大学からの学生が選考され、先月よりインターンを開始しました。
職場は、バカビル(Vacaville)という、人口約9万人が住む市にあります。サンフランシスコからは東にやく80キロ、カリフォルニア州の州都であるサクラメントからは西に55キロほどの所に位置しています。そして、私が所属する精神衛生プログラムはカリフォルニア州精神衛生課の管轄のもと、カリフォルニア医療施設という、いうなれば「囚人のための病院」内にあるわけです。現在、このように刑務所内にある精神衛生プログラムは、今年の7月に新たにできた施設を含め、カリフォルニア州に3つ程あります。私の施設では以前このメルマガを投稿した時から少し規模が大きくなり、今現在、救急病棟で218床、中期療養プログラムで252床があります。インターン生は、AMTAが求める1040時間、約26週をかけて、この二つのプログラムを通じ臨床経験をつんでいきます。
インターン期間中は、フルタイムのスーパーバイザーが担当に付き、日常のちょっとしたアドバイスや観察結果のシェアのみならず、週に1度、1時間程のミーティングを行いスーパーバイズしていきます。その他、中間期と最終期にインターンシップのディレクターを交えて評価の為のミーティングを行います。また、前述しましたが、リハビリテーションセラピストには他にもレクリエーションセラピストや芸術療法士がいますので、彼等のセッションの見学や、共同でセッションをしたりする機会もあります。そして、配属先のユニットでは、精神科医、看護士、ソーシャルワーカー、臨床心理士、医療免許を持った看守などのスタッフと連携を組み、学際的医療チーム(Interdisciplinary Treatment Team)の一員として患者に治療を施していきます。インターン中は、短期療養プログラムである救急病棟や、比較的症状が落ち着いた患者がいる中期療養プログラムで実際に臨床経験をつみながら、個人セッション、グループセッションなどを通じで音楽療法に関する知識を学んでいきます。その他、患者に対する正しい記録方法や音楽療法に関しての評価方法、セラピストとして音楽療法以外の治療方法なども習得していきます。また、インターン期間中には、施設内で行われる様々な研修の他に、施設外でもワークショップやプレゼンテーションがありますので、機会があればそういった会にも参加しています。
以上、私の職場でのインターンシップに関して紹介してみました。ご質問・ご意見などありましたら、下記のアドレスにご連絡いただければ幸いです。ありがとうございました。
岡本 稔 minorukunho4@ybb.ne.jp[編集後記]
9月に開催された音楽療法学会米子大会では、伊賀から発信させていただくとともに、多くの方々との交流できました。今回は社会福祉協議会を母体とする音楽療法団体の活動比較・考察から、音楽療法の実践が地域福祉の推進にもたらす効果を検証しました。「ふくし」の切り口に対してたくさん質問が出てうれしかったです。ご協力いただいた奈良市・桑名市のみなさん、実り多い時間をともにしてくれた皆さんに感謝しています。
最終日のシンポジウムでは、大会テーマの「個のつながりや地域とのつながり」にそった報告がありました。ICFの視点を大切にすること、また、音楽療法士はジェネラリストであるべきといった提言を、感慨深く聴きました。今後の音楽療法学会としての方向性に、改めて注目します。(よ)[伊賀音楽療法研究会メールマガジン]
このメルマガは、毎月1回以上発行する予定です。ご意見ご感想は、inui@hanzou.or.jp まで。セミナー・講習会情報など、音楽療法に関する情報をお寄せください。伊賀音楽療法研究会メールマガジン編集室
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Japanese Music Therapy Student & Professionals
www.geocities.jp/jmtsp2004/
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