JMTSPアメリカ音楽療法だより(83)

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伊賀音楽療法研究会(三重県伊賀市)から「日本と世界の音楽療法情報」が送られてきました。

伊賀音楽療法研究会メールマガジン2月号(No.139)

JMTSPアメリカ音楽療法だより(83)
 皆様、こんちには。久しぶりの投稿になります。カリフォルニア州在住の鎌原大です。今回は薬物更生と音楽療法について少し書かせていただきます。
 私はこれまで約10年程、自殺・他殺念慮の方の為の設置入院専門の精神病院で働いていきました。この病院で働き出してから知って驚いた事なのですが、うちの病院に来る患者さんの75%以上が重複診断と呼ばれる方達。つまり精神病と薬物依存の二つの障がいを抱えていらっしゃいました。
 この薬物依存は最近日本でも問題になってきていると思いますが、けして「性格の問題」や「意思が弱い」なのどでは無く、科学的にも説明ができる、病気であります。この部分に関してだけで、何度でも記事が書ける内容なので、詳しくは割愛させていただきますが、薬物依存は本人の意思で薬物摂取をコントロールできなくなる病気とした上でこの記事を読んでください。
 精神病に関しては大学時代に勉強する機会はあったのですが、薬物依存に関しては正直言って、その当時はあまりありませんでした。もう少し薬物依存について知識を得なければとつねづね思っていましたところ、偶然にもアルコール&ドラック・カウンセリングの専攻がある大学が近所にありまして、数年前から少しづつクラスを取り初めまして、昨年にやっとすべて終了しました。また今年の一月には無事にカウンセラーの試験にも合格いたしまして安堵したところです。
 このアルコール&ドラック・カウンセリング・プログラムの最後の科目は、音楽療法を含む他のセラピープログラムと同様にインターンシップでした。私は近所にある薬物依存更生施設でインターンシップを行いました。この施設の名前は、守秘義務が大変厳しくて残念ながら皆様にはご紹介できませんが、薬物依存更生施設としては世界的にもかなり有名な施設です。患者さんには世界的に活躍されているセレブリティなどもいらっしゃり、また、この施設の研修所には世界各国から沢山の専門職の方が薬物依存の勉強の為に訪れていました。
 言い換えると滅茶苦茶お金持ちの施設でありまして、兎にも角にも設備が超一流で、様々なプログラムをオファーしており、薬物治療回復には理想的すぎる施設ではありました。また有名人に会う事ができて、ミーハーな部分が自分の中にあったところは否定できません。しかし、それ以上に自分が働いている病院は公立の施設で、低額所得者の為の施設。同じ地域にありながら、あまりにも違う2つの施設の設備、提供できるプログラムの数など、お金というものの力を感じ、この世界の不平等さを感じ、アメリカの光と影を垣間見た瞬間でもありました。
 この薬物更生施設にはカウンセラーのインターンとして入ったのですが、自分の行うセッションには音楽療法の活動やスキルをかなり活用しまた。私は現在働いている精神科では。。。
1)楽器演奏
2)歌唱
3)音楽と運動
4)音楽と他のアート
5)リラクゼーション
6)レクリエーションとしての音楽
7)音楽と心理教育
などを中心に行ってきていましたが、これらの活動は全てインターン先の薬物依存更生施設でも行える事ができました。特に好評だったものの一つが楽器演奏。特にドラムサークルは大好評でした。私はRemo社のドラムサークル・ファシリテーターの研修を受けていたので、そこで習ったテクニックを下地に行いました。いつもディスカッションを主に行ってきているので、自分自身を言語では無い形で表現する行為は、かなり患者さんに取って新しいものだったみたいです。スーパーバイザーからも、ドラムサークル後はディスカッションの参加率が格段に違う、より深い部分の話ができるとのお褒めの言葉もいただきました。インターン終盤には施設で働いているセラピスト達の中には自分でドラムを購入した人たちも何人も出てきて、とても嬉しかった事を覚えています。
 リラクゼーションのクラスも好評でした。私はThe Bonny Method Guided Imagery and Music(以下GIM)のレベル2までは終了(レベル3が最終レベルです)していたので、そのレベル2修了者で出来得るGIMテクニックをベースとしたイメージ誘導を行いました。このイメージ誘導のテクニックは、患者さんの負担が大きいので日本では取り入れるのは難しいと聞いたことがありますが、この施設内では音楽を使わない所謂Guided Imageryを行われるセラピストの方が何人もいたので、このGIMに関してもかなり興味を持っていただけました。特に効果が顕著に表れたのは、痛み止めの薬の多用から薬物依存になられた患者さんたちです。痛みの感度が、かなり減ったとのお言葉もたくさん頂戴致しまして、これもとても嬉しかった事を覚えています。
 ここの施設でのインターンシップの経験は本当に貴重で他にも「有名音楽家への音楽療法」など他にもご紹介したかったトピックもあります。また、この薬物依存というのは、勉強すればするほど、とても深いものがあり、ますます興味が湧いております。最近アメリカで音楽療法と薬物依存に関しての本が出版されたみたいですが、この薬物依存の為の音楽療法はアメリカでもまだまだ新しい領域ですし、これから日本でもこの領域で活躍される音楽療法士の方がどんどん増える事を期待して、この記事を終わらせていただきたいとおもいます。
 何かご質問がありましたらkdaisaku@hotmail.comの方までご連絡ください。

[編集後記]
今年は資格更新の年。
「あと5年、また認定音楽療法士でいていいよ。」という通知が土曜に来ました。長3サイズの封筒をポストに見つけた時は、「ちっちゃい。不合格かなあ…あぁ来年もう一度書類出さないといけない」と思いました。手続きの書類が入っていないので不合格通知は小さな封筒でやってくるということがよくあるらしいのですが、封を開けると、「あなたは合格されましたので、認定料3万円を支払って認定証用の写真を撮って学会事務局へ送るように」という文言が書かれていました。今回は初めての資格更新なのに、時間に追われて全く丁寧さがなかったことを反省しています。「音楽療法」という漢字を書き取りのように何度も何度も書類に書くのが正直面倒に思い、たくさんの認定ポイント講座の受講証を申請に使いませんでした。もったいないことです。しかし、症例レポートの作成では、対象者さんのケース記録を初めて見せていただきました。常勤でない音楽療法士は、対象者についての情報が限られていることがよくあるので、とても有難かったかったです。そして、支部大会・学術大会合わせて3回研究発表できたことは、がんばった方じゃないかなと…思っています。次の5年は、もっと丁寧にセッションを積み重ねよう。それから、次の更新の時にはもっと前もって書類をそろえておこう。つくづく思いました。(吉)

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http://ameblo.jp/jmtsp/entry-10022542018.html

Japanese Music Therapy Students & Professinals (JMTSP)
http://ameblo.jp/jmtsp/

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アメリカと日本の音楽療法情報(2011) – 美幌音楽人 加藤雅夫
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