JMTSPアメリカ音楽療法だより(鎌原大作)

三重県伊賀市にある伊賀音楽療法研究会(伊賀市社会福祉協議会内)からメールマガジンが送られてきました。12月号のリポーターは、米国カリフォルニア州のインディオで活動中の音楽療法士鎌原大作。

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伊賀音楽療法研究会メールマガジン12月号(No.125)

[世界音楽療法情報]

JMTSPアメリカ音楽療法だより(71)
2011年もいよいよ最後の月を迎えました。12月号を担当いたしますサコです。以前にも何度かコチラに記事を投稿させていただく機会がありましたので、自己紹介は省略させていただいて、早速トピックの方に行かせていただきます。今回は11月にジョージア州・アトランタで行われましたAMTA(American Music Therapy Association/アメリカ音楽療法協会)の学会で自分が印象的だった情報を幾つかご紹介したいと思います。
まずはAMTA学会のスケジュールをご紹介します。まず大きな流れとして、本大会は木曜日の夕方の開会式で始まり、金曜日、土曜日、そして日曜日の午前中までは色々なプレゼンテーション(以下プレゼン)がおこなわれ、日曜日正午の閉会式までとなっております。また、その本大会以前・以後にもCMTEコースと呼ばれている、一つのトピックに関して深く勉強する特別な講習会を追加料金を払って参加する事もできます。殆どの講習会は半日か全日なのですが、例外的にGIM(Guided Imagery and Music/音楽によるイメージ誘導法)の講習会になると数日間に及ぶ事もあります。このCMTEコースに参加する事によって、参加者はCMTEポイントと呼ばれるものが取得できます。このCMTEポイントは音楽療法士(MT-BC)の資格を更新する上で必要となり、5年で100ポイント集める事が要求されております。
私は以前に日本音楽療法学会の学会に名古屋の金城学院で参加した事が一度あるのですが、2つの学会で一番大きな違いは一つ一つのプレゼンに割り与えられている時間ではないでしょうか?AMTAでは割り当て時間が、スケジュールによって最低でも1時間、長い時は2時間あります。ですので、かなり詳しい部分まで内容を聞く事ができますし、質疑応答の為の時間も十分にあります。また同時間にプレゼンがだいたい15つ位はおこなわれますので、自分には合わないプレゼンの場合は他のプレゼンに移動する事も簡単です。
今回のAMTA学会に参加して感じた事は、やっと音楽療法が世間一般に認知されてきたのだな~という事です。その一例として、ニューヨークタイムズでも紹介される程、有名なJodi Picoult(ジョディ・ピコー)と言う小説家の方が、今年の3月に音楽療法士の関しての小説を出版してくれたそうです。この本のタイトルは「SingYou Home」。私も学会に参加するまで、全く知りませんでしたが、帰宅後早速オーダーしました。自分自身はまだ読んでいないので、内容は全く掴んでおりませんが、かなり綿密に音楽療法士に関する情報をリサーチして書いてくれたそうです。彼女の幾つかの作品は既に日本語に訳されていますので、この本の日本語版もいずれ出版されると良いな~と思っています。
そして、なんと映画にも音楽療法士が登場するようになりました。この映画のタイトルは「The Music Never Stopped」です。映画自体は音楽療法の話ではありませんが、タイトルからも解るように、音楽はこの映画で重要な役割を果たします。そして勿論、音楽療法士はメインキャラクターの一人として登場します。このお話は実話に沿った映画なので、この映画の中の音楽療法士の基になった本当の音楽療法士の方もAMTA学会に参加されていました。自分のおこなってきた実践が、この様な形で映画化されて他の人たちに認知されるのは、とてもステキですね。この映画の予告編はYoutubeなどで観れますのでぜひともご覧になってください。この作品もいずれ日本に紹介される事を祈っています。
これは本当にビックリしたのですが、終に音楽療法士がネバダ州とノースダコタ州でライセンス化されることになりました。アメリカでは国家資格という概念は基本的に無く各州それぞれでライセンスの運営しています。今まではNY州ではCreative Arts Therapistというライセンスを発行していましたが、音楽療法士としてのライセンスはこの2つの州が初めてです。これは自分たちにとっては、とても大きな事です。他の16つの州でも同様の動きがあるとの事。。。とても楽しみです。
 そして最後になりますが、終に音楽療法士になるための、必修事項として修士号を取得している事が含まれる事が、本格的に始まるみたいです。現在は学士レベルで音楽療法士になれるのでが、この修士号の件はどうやら今回の学会で、かなり真剣に話し合ったそうです。一応、2020年度を目安に音楽療法士になるためには修士号取得は必須の方向に向こうみたいですね。
私はこの修士号の考え方には大賛成です。作業療法士、言語聴覚士、アート療法士、ダンス・ムーブメント療法士などは既に修士レベルを要求しています。音楽療法を完全に心理療法の一つとして捉えているイギリスでは25歳以上である事が、音楽療法のプログラムに入れる条件だと聞いた事があります。自分自身も精神科という環境で働いていて、音楽療法のインターン生をスーパーヴァイズしている理由もあるのかもしれません。よくMTインターン生のがもう少し精神的に大人だったらな~と思う事が多々ありましたので、この音楽療法士・修士号取得必須の提案はかなり好意的に見ています。
以上で、2011年のAMTA学会報告を終わらせていただきます。来年はイリノイ州のシカゴで行われるそうで、通常このAMTA学会は11月に行われるのですが、来年は特別に10月に行われるみたいです。11月のシカゴは寒すぎるのでしょうか?
それでは皆様、ステキな新年をお迎えください。
サコこと鎌原大作

[編集後記]
2011年もあとわずかとなりました。今年は、日本にとって大きな試練の年となりました。これまで経験したことのない津波という大災害に見舞われ、さらには、原発事故により目に見えない放射能におびえる日々を送っている人たちが多数います。復興に向けての歩みは着実に進んでいると思いますが、音楽には、人々に勇気を与え、明日への希望を芽生えさせる効果があります。今こそ、音楽療法の出番です。

伊賀音楽療法研究会メールマガジン編集室
〒518-0869 三重県伊賀市上野中町2976-1上野ふれあいプラザ3階
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伊賀音楽療法研究会
http://www.hanzou.or.jp/music/top-page.htm

関連エントリー:

アメリカと日本の音楽療法情報(2011) – 美幌音楽人 加藤雅夫
http://masaokato.jp/2011/01/19/083555

JMTSP の検索結果 – 美幌音楽人 加藤雅夫
http://masaokato.jp/?s=JMTSP

Music Therapy の検索結果 – 美幌音楽人 加藤雅夫
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1 件のコメント


  1. Song Around the World / Stand By Me

    We are living”Between Sunshine and Joy” – 美幌音楽人 加藤雅夫
    http://masaokato.jp/2009/03/16/143951

    美幌音楽人 加藤雅夫 より 2011 年 12 月 11 日 08:11

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