網走市の社会保障費(医療費篇) – 経済の伝書鳩(連載)

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網走市(あばしりし)は、北海道オホーツク総合振興局管内にある市で、振興局所在地である。 日本の市町村をアルファベット順に並べると、当市 (Abashiri)が一番初めになる。
http://ja.wikipedia.org/wiki/網走市

連載 網走市の社会保障費 (1)

医療費編~その1

テレビや新聞報道でよく耳にするようになった社会保障費。国の社会保障費は歳出予算の3割ほどを占め、その割合は増え続ける一方だ。では、網走市の社会保障費はいったい、どの程度かかっているのだろうか。市の医療費、介護保険費、生活保護費などを調べた。

過去5年、増加の一途
24年度は85億円

社会保障の「枠」は広い。病気やけが、貧困、失業などで、今回の連載では「医療」「介護保険」「生活保護」費に絞って取材した。 84億8698万3514円-。市の国民健康保険加入者と後期高齢者を合わせた、平成24年度の総医療費の額である。過去5年データでみると、「80億円台」には23年度から突入した。 医療費の基本的な自己負担割合は、70歳未満が3割、70~74歳は特例措置により1割(本来は2割)、そして後期高齢者の75歳以上が1割となっている。自己負担以外の医療費は、保険料のほか国と都道府県、市町村が負担する。 網走市の医療費の年度ごと推移を見てみる(24年度までの過去5年)。 20年度は約73億円(国保と後期高齢者医療)。その後、医療費は減ることはなく、その4年後には11億円以上も増えた。 高齢者が4人に1人となった網走市。人口の社会減少期にも突入し、今後、税収の落ち込みなどにより「歳入」の確保が厳しくなる一方、医療費を含む社会保障費などによって「歳出」が増えることが予想される。 今後、医療費はさらに膨れ上がると考えられる。市町村、道、国の財源が限られている中、増え続ける医療費は網走市にとっても深刻な問題である。 (大)

経済の伝書鳩(フリーペーパー) 2013/10/17掲載(網走市/社会・本紙連載)
denshobato.com/BD/N/page.php?id=73769

連載 網走市の社会保障費 (2)

医療費編~その2

網走市の国保加入者と後期高齢者(75歳以上)を合わせた、平成24年度の総医療費は約84億8700万円。では、国保加入者と後期高齢者の1人あたりの医療費などはどうなっているのか-。そのデータからも、網走市が高齢社会に入ったという現実を痛感する。

1人あたり53万6千円
抑制に理解と協力必要

網走市の国保被保険者数は、24年度平均で1万930人。過去5年で最も少なく、減少は今後も続くと予想される。一方、後期高齢者は4893人で、20年度より544人増えた。 国保の被保険者は減り、後期高齢者は増える-。この構図は全国的なことで、地方の網走市も同様の傾向だ。 1人あたりの医療費を見てみる。 国保加入者の場合、24年度は32万5599円で、過去5年は「30万円台前半」で推移。後期高齢者医療制度が導入される直前の19年度は45万7773円で、その差は10万円以上となる。 一方、後期高齢者は100万7190円(24年度、1人当たり医療費)。「100万円台」は23年度に初めて突入し、今後も増えることが予想される。 ちなみに、国保加入者と後期高齢者を合わせた上での、1人あたりの医療費は53万6370円(24年度)となっている。 国保加入者と後期高齢者の医療費の負担割合は異なるため、単純な比較はできない。ただ、網走市においては高齢者はさらに増えることはほぼ確実で、まちの財政状況を踏まえると、さらなる医療費抑制策が求められる。 国も現在の医療制度の“限界”が見えてきたため、70~74歳(前期高齢者)の基本的な自己負担額を特例措置による現行の1割から、本来の「2割」とする検討を本格化させているようだ。 網走市の医療費を抑えるには、行政だけではなく市民の理解と協力も必要だ。では、市民は一体何ができるのだろうか? (大)

経済の伝書鳩(フリーペーパー) 2013/10/18掲載(網走市/社会・本紙連載)
denshobato.com/BD/N/page.php?id=73790

連載 網走市の社会保障費 (3)

医療費編~その3

医療費がこのまま膨れ上がると、網走市はどうなるのか。家計に置き換えると、給料(歳入)は減る一方で、家族の通院などにかかる医療費(歳出)は増え続ける-という状況だ。市民自身が医療費を抑える策はある。その一つが生活習慣病の予防と改善である。

特定健診受診し生活習慣病予防を

自分の力だけでは治せない、または予防できない病気はたくさんある。その一方で、自分の力である程度は治せ、予防できるのが生活習慣病である。 40歳~74歳までの公的医療保険加入者全員を対象とした「特定健診」(メタボ健診)。国は生活習慣病の予防を目的に、平成20年度から受診を義務化した。 ただ、網走市の受診率は向上しない。国保加入者のこれまでの受診率は25%前後で推移。国は23年度の受診目標値を62%としたものの、網走市は24.2%と大幅に下回った。 網走市の医療費を抑えるにはまず、特定健診の受診率を上げることが重要だ。1人でも多くの市民が「自分で治せる病は自分で治す」という意識を強く持てば、間違いなくまちの医療費は今以上に減らせるはずだ。 「国民病」ともいわれる糖尿病。厚生労働省によると、2007年の患者数は890万人で、10年前より200万人増えた。2025年には1500万人と推計され、事態を重くみた同省は推計値より500万人減らす目標を立てた。目標を達成できれば、1.9兆円の医療費を削減できるという。 糖尿病の多くは、食生活や運動不足などといった生活習慣の“乱れ”が要因だ。網走市の場合、今年3月に糖尿病で受診した国保加入者は346人で、国保加入者全体の3%を占めた。また、糖尿病予備軍はかなり多いとされ、特定健診は予備軍の発見にも効果を発揮する。 (大)

経済の伝書鳩(フリーペーパー) 2013/10/19掲載(網走市/社会・本紙連載)
denshobato.com/BD/N/page.php?id=73814

連載 網走市の社会保障費 (4)

医療費編~完

生活習慣病を予防することで、網走市の医療費は今以上に抑えられる。「国民病」とも言われる糖尿病。市のデータからは、高齢になるにつれ糖尿病患者が増えることがわかる。また、病院の診療科目別(国保加入者)ベスト3には糖尿病をはじめ、高血圧が入っている。医療費を抑えるため、そして自身の健康を維持するためにも、網走市の国保加入者なら年に1回無料で受診できる、特定健診をお勧めする。

糖尿病には合併症も 若いうちからの予防を

網走市の年齢別糖尿病患者数データ(国保加入者のみ)。平成24年5月のレセプト(診療報酬明細書)により、各世代に占める糖尿病患者の割合をまとめた。 割合が最も多かったのは〈70~74歳〉の19.2%。被保険者数1771人に対し、実に340人が糖尿病患者だった。 〈20~29歳〉世代から〈45~49歳〉世代まではいずれも、5%未満だ。しかし、その割合は高い世代になるにつれて増え、〈60~64歳〉12%、〈65~69歳〉は13.7%と上昇していく。 このデータからは、いかに若い世代から糖尿病への関心を高め、早期予防・早期治療につなげることが大事か-ということが読み取れる。 〈24年5月レセプト〉からは、糖尿病患者の中で高血圧や脂質異常を重複しているケースが4~6割を占める。また、糖尿病特有の合併症である細小血管障害や心疾患、脳血管疾患などを併発している市民は2~3割いる。 こうした状況は、病院の診療科目別順位にもつながっているようだ。25年5月の診療データ(国保加入者)によると、診療科目の1位は「高血圧」、2位「歯肉炎症及び歯周疾患」、3位が「糖尿病」。このベスト3順位は、前年同月も同じである。 網走市の特定健診受診率は一向に上がらない。市は今年8月、受診していない対象者に再度、ダイレクトメールを送るなどの策を講じたものの、反応はいま一つ。市保険年金課は「現在、そして将来の自分の健康を維持するためにも特定健診を受けてほしい」。その願いは切実だ。 (大)

経済の伝書鳩(フリーペーパー) 2013/10/21掲載(網走市/本紙連載)
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=73842

関連サイト

網走市公式サイト – 豊かなオホーツクに活気みなぎるまち
www.city.abashiri.hokkaido.jp

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生活習慣病 の検索結果 – 美幌音楽人 加藤雅夫
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2 件のコメント

  1. 北見市議会福祉民生常任委

    国保料引き下げの請願
    財源投入に慎重姿勢

    北見市議会福祉民生常任委員会は10月30日、北見市の国民健康保険料の1世帯当たり年額1万円引き下げを求める請願を審査した。 7月に発足した北見市の国保をよくする会(代表・北見民主商工会会長)は請願とともに1万1千筆余りの署名を議会に提出している。 2回目の審査となるこの日は、市が道内35市の1人当たりの保険料一覧などを示した。それによると北見市の保険料(24年度)は全道で6番目に高く、一定期間の保険料未納者に交付される被保険者資格証明書の交付割合(24年6月1日現在)が札幌市に次いで2番目に高い。一方、一般会計からの繰り入れで財源を確保し、国保料を減額している自治体もある。 請願の紹介議員である菊池豪一委員(日本共産党)は「国保料と年金の保険料を支払うと生活保護以下の状況になる」とし、市の考えをただした。保健福祉部長は「国保は構造的な問題が大きく、根本は国の責任において改善されるべき。一般財源の投入は慎重に考えざるをえない」と述べた。 次回の委員会では請願の取り扱いについて委員が意見交換を行う。 (柏)

    経済の伝書鳩(フリーペーパー) 2013/11/01掲載(北見市/政治・社会)
    http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=74143

    加藤 雅夫 より 2013 年 11 月 3 日 16:05

  2. 網走市議会…

    議員定数・報酬どうなる?

    網走市議会で進められている第17期(平成23~27年)の議会活性化策はこれまで、一般質問の一問一答方式の統一やインターネット中継などが実施されている。残るのは「議員定数・報酬」などだ。協議の場は、議会活性化特別委員会から議会運営委員会へと移った。17期の期間はあと1年半。市民の関心が高い「議員定数・報酬」を含め、期間内に道筋をつけられるのか注目される。

    議会活性化策、議会運営委に協議移る
    残る1年半…結論に注目

    各種の活性化策については、23年7月に市議会内に設置された同活性化特別委員会で協議されてきた。検討項目は46項目。このうち、今年9月の定例市議会までに決定・実施されたのは「議会の原則公開」や「反問権の導入」「政務活動費の使途の全面公開」など18項目だ。 また、「必要に応じて実施する事項」(議会報告会の開催など)は8項目で、「重複等取り消し事項」は16項目となっている。 同市議会は今年6月の定例市議会で、同特別委員会による「調査は終了」とした上で、継続協議の場を議運委に移行した。 継続協議事項に含まれる、「議員定数・報酬」。網走の現況に照らし合わせると、定数と報酬を“増やす”という議論はありえないため、「どの程度減らすのか」または「現状維持か」-という協議になりそうだ。 議員定数は昭和62年の選挙から30人→26人、平成15年選挙で22人、19年選挙から20人に改められている。いずれも立候補者は定数を上回り、選挙になった。 現在の議員報酬(月額)は議長47万1千円、副議長41万5千円、ほかの一般議員は38万円。一般議員の期末手当は、6月支給分で79万4200円、12月支給分が85万6900円となっている。 市の財政は厳しいとされ、第3次行革計画では27年度までの5カ年で27億円の収支不足を見込んでいる。市は同計画を踏まえ、職員給与の独自削減などに取り組んでいる。 継続協議には「議会基本条例の制定」も含まれる。議員定数・報酬と連動した協議となりそうで、残る2年の間に議運委がどのような結論を出すのか注目される。 (大)

    経済の伝書鳩(フリーペーパー) 2013/11/02掲載(網走市/政治)
    http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=74162

    加藤 雅夫 より 2013 年 11 月 3 日 16:09

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