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北海道エゾシカの問題

北海道エゾシカの問題

2013年05月08日(水) 9:31
カテゴリ: Facebook, Twitter, お知らせ, オホーツク, 健康・福祉, 北海道, 北見市, 大空町, 女満別, 津別町, 環境, 紋別市, 網走市, 美幌町, 訓子府町, 遠軽町, 防災・防犯, 音楽
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エゾシカ（蝦夷鹿）は、北海道に生息するシカの一種。個体数の爆発的増加にともない、農林業被害や交通事故といった人間経済への被害、そして採食活動による森林や高山植物などの生態系破壊が深刻化している。もはやエゾシカの問題は、北海道の経済と自然を脅かす社会問題となっており、「災害」とまでいわれている。

エゾシカに関するブログ記事とニュース（Google 検索）

深刻化するエゾシカ問題 (1)

－北見市内の農業被害と駆除の実態－
全道的な個体数の増加で農業被害、交通事故など社会問題化しているエゾシカ。北見市内でも年々農業被害が深刻化しており、市は対策に本腰を入れている。対策の主なものは防護柵やワナの設置、ハンターによる駆除だが、農業被害の抑止にはなかなか結びつかないのが現状だ。市内のエゾシカによる農業被害、駆除の状況を追った。

23年度の被害額 1億8600万円
小麦、ビート、タマネギなど荒らされ
ワナは効果薄く、駆除はほとんどがハンター頼み
道内のエゾシカの個体数は年々増加傾向が続き、農林業被害も深刻化している。平成17年に28億円だった全道の農林業被害額は同23年には64億円に上り、6年間で2・3倍に増加。特に道東地域の十勝、釧路、オホーツク、根室管内及び日高管内の被害が大きく、この5地域で52億円と全体の8割を占める。

オホーツク管内の23年度の被害額は8億5300万円。このうち北見市が1億8600万円で、管内被害に占める割合は2割強に上る。自治区別で最も被害が大きいのが端野で6300万円、次いで常呂が5100万円、北見4900万円、留辺蘂2400万円。

市内の主な被害作物はビートが7600万円（390ヘクタール）、小麦が3800万円（250ヘクタール）、タマネギ3500万円（77ヘクタール）、ジャガイモ1300万円（96ヘクタール）。カラス（80万円）やハト（60万円）など他の鳥獣に比べ突出した被害となっている。

北海道はエゾシカ保護管理計画に基づき、増加するエゾシカの個体数適正化を図っているが、今のところ期待される成果は得られていないのが現状だ。

北見市は農業者が防護柵を設置する際に一定額を補助しているほかワナの貸し出し、ハンターへの助成などを行い、被害の抑止に努めている。

ワナによる捕獲は23年度が56頭、24年度は23頭。一方、ハンターによる駆除は20～23年度が年間700～1000頭。対策を強化した24年度は現在集計中だが、1500頭余りになる見通しだ。

地元猟友会や農家の話によると、シカは学習能力が高く、ワナがある場所を覚えていて近づかない。ワナを大幅に増やさない限り効果は薄く、現在の駆除はハンター頼みという現状だ。 (柏)

北見網走オホーツクのフリーペーパー経済の伝書鳩
2013/04/25掲載（北見市／社会）
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=69516

深刻化するエゾシカ問題(2)

－北見市内の農業被害と駆除の実態－

仁頃町、男性の農地では15頭ほどの群れも出現
10年ほど前から被害拡大
北見市仁頃町で農業を営む男性（36）の農地周辺には近年、季節を問わずエゾシカが出没する。

男性はこの地で代々営農する農家の4代目。本人は15年ほど前に就農し、現在は農地から離れた市街地に居を構える。山々に囲まれた農地ではジャガイモ、ビート、小麦、米、小豆などを作付している。

「子どものころ、この辺りではシカを目にすることはめったにありませんでした」と男性。就農当時もエゾシカは「たまに見かける程度」だったが、10年ほど前から目撃数が増え始め、それにつれて作物の被害も大きくなっていった。

エゾシカは季節や昼夜を問わず姿を現すが、特に作物が実る夏から秋にかけて出現が増える。近年は一度に数頭まとまって現れることも多く、昨年は15頭ほどの群れが出現、小豆の畑を食い荒らし約1ヘクタールが壊滅状態になった。

“行儀の悪さ”も目に付きハンター以外には平然と
近年は数が増えただけでなく“行儀の悪さ”も目に付き、食い散らかすように畑が荒らされるケースもあるという。

山あいの農家が自衛策として行っているのが防護柵の設置だが、男性は今のところ柵は設けていない。男性の農地は山に囲まれているため、柵を設置する場合は農地の周り全体に張り巡らせなければ効果は見込めない。設置には多額の初期投資に加え、設置後も管理や修繕が必要になる。男性が柵の設置に二の足を踏むのはこうした理由からだ。

北見市は防護柵の設置に一定の費用を助成しており、予算額も年々増額。しかし、シカは柵のない場所に移動して被害を及ぼすため、根本的な対策に至らないのが現状だ。

男性によるとシカは非常に賢く、銃を持つハンターが近づいて来たときは敏感に察知して素早く避難するが、それ以外の人が近づいても平然としたもの。それでも柵のない男性にとってはハンターの駆除が頼みの綱で「とても助けられています」。 (柏)

北見網走オホーツクのフリーペーパー経済の伝書鳩
2013/04/26掲載（北見市／社会・本紙連載）
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=69558

深刻化するエゾシカ問題 (完)

－北見市内の農業被害と駆除の実態－
深刻化するエゾシカの農業被害対策として今のところ最も効力を発揮しているのがハンターによる駆除。しかし、北海道猟友会北見支部ではハンターの減少と高齢化が大きな課題になっている。

農業被害の実態は5月末ころ明らかに
“頼みの綱”ハンターは減少、高齢化　担い手育成が急務
同支部には約二百人のハンターが名を連ねる。かつてはその2倍以上の会員が在籍していたこともあったが近年は退会者が入会者を上回る状況。ハンター減少の背景には狩猟に対する認識の変化、銃の所持・使用に関する規制強化などがあると見られる。会員の高齢化も進み現在の平均年齢は58歳。重いもので100キロを超えるエゾシカの処理は、高齢のハンターにとって体力的な負担が大きく、担い手の育成が急務になる。

北海道のエゾシカ猟は「北海道エゾシカ保護管理計画」に基づき可猟区域、可猟期間などが定められている。ハンティングを楽しむための可猟期間は冬場が中心で、春から秋にかけての農耕期は有害駆除の期間となる。

市は有害駆除を同支部に委託しており、20～23年度の銃による駆除頭数は年間700～1000頭。24年度は対策に力を入れ可猟期間（昨年10月27日～今年3月31日）にも特別対策事業として猟友会に駆除を委託。通常の有害駆除期間に1152頭を駆除し、11～3月の特別対策で約350頭（推計）を追加駆除した。

これに加え市は24年度、同支部のメンバーを中心とする「鳥獣被害対策実施隊」を設置。実施隊の設置は国の鳥獣被害防止特別措置法に基づくもので、隊員には狩猟税の軽減、公務災害の適用などの優遇措置がある。

実施隊は今年3月17日、初の全市一斉駆除を行った。北見、端野、常呂、留辺蘂の4自治区から109人のハンターが参加し、市内各地に分かれて駆除を実施。1日で105頭を捕獲する成果があった。

これらの新たな対策により、銃による年間駆除数は前年の873頭を大きく上回り約1600頭となる見通し。市内の24年度の農業被害額は5月下旬ごろ判明する見通しだが、駆除数の上積みが具体的な成果となって現れるかどうかが注目される。

市は今年度も対策強化を継続し、被害防止を図る。 (柏)

北見網走オホーツクのフリーペーパー経済の伝書鳩
2013/04/27掲載（北見市／社会・本紙連載）
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=69584