アメリカからの手紙(日本人の音楽療法士)

三重県伊賀市の伊賀音楽療法研究会メールマガジン編集室に寄せられたアメリカ合衆国ウィンチェスター(バージニア州)にあるシェナンドー大学の音楽療法士・波多野玲美さんのレポートをUPしました。



♪ Shenandoah (星々の美しい娘 シェナンドー) ♪ おまけ ♪ おまけ

 

[世界音楽療法情報]
◎JMTSPアメリカ音楽療法だより(52)

皆様、はじめまして。4月号の記事を書かせて頂く事になりました、波多野玲美と申します。 このJMTAにこの10月頃から入会しました。先ず、私の簡単な自己紹介からさせていただきます。高校卒業後、音楽療法を学ぶためアメリカに渡りました。昔から、マリンバを習っていて音楽が好きでした。音楽療法を知ったのは、高校の時に母が見つけた新聞の記事でした。音楽と福祉などに興味があった私は、これはぴったりだと思いアメリカで音楽療法を勉強したいと思うようになりました。現在、Virginia州にあるShenandoah University (SU) の大学院で音楽療法を専攻しています。一年前に大学を音楽療法で卒業し、その後一年パフォーマンスの方で残り今は、音楽療法とパフォーマンスのダブルメッジャーでアメリカに残っています。私がSUを選んだ理由は、日本の大学と提携があったこと、大学の教授Dr. Rohrbacher は、全米でも有名な音楽療法士と聞いたのでこの大学を選びました。大学のある町は、大きな都市ではないけれど車で1時間半ほど行けばワシントンDCに行ける場所にあります。私としては、この町に満足しています。勉強するのに良い環境で、週末は大きな都市に行けるという便利さが気に入っています。さて、今回は私の通うShenandoah University(SU)について紹介したいと思います。

SUは、Virginia州Winchesterにある私立の大学です。生徒数は、約3,400人という小さな大学です。今年は例年よりも生徒数が多く音楽療法専攻の学生は、Undergraduateに45 人、 Certificateに22人 Graduateに25人います。SUには、教授が二人います。先ほどから名前が出ている、Dr.RohrbacherそしてMrs.Rohrbacher。そして、来年の秋からは3人目の教授が来る予定です。Dr. Rohrbacherは、全米音楽療法士認定理事会前理事であり、日本でも幾度も講義を行っている方です。Dr. Rohrbacherは、民俗音楽学の博士号を持っていて色々な国の音楽に詳しいです。特に、アジアの音楽にはとても興味がおありのようです。Mrs.Rohrbacherは、その方の奥さんですがもちろんすばらしい音楽療法士です。Mrs.Rohrbacherは、SUに来る前は、クリニカルトレーニングのディレクターをしていたそうです。
音楽療法の実践の上でのテクノロジーに力を入れている教授です。二人の教授は、たくさんの留学生を教えているせいなのか留学生とのコミュニケーションが上手で、とても親身に授業や私生活など色々な面で助けてくださいます。

学士課程では、音楽療法の授業の他に音楽理論、音楽史、ギター、アンサンブル、解剖学、心理学、専攻楽器のプライベートレッスン、指揮法、ピアノ、ダンス等が必須になっています。これで、だいたい128~130単位です。修士課程の方は、専門的な音楽療法のクラス、修士論文、リサーチのクラスなどで、全部で30単位です。他の大学の事はあまり知りませんが、大学の教授によると、SUの音楽療法と言えばというものは特になくすべての音楽療法のアプローチを網羅すると聞いた事があります。そして、教授曰くこの大学の大学院のもう一つのいいところは、一ヶ月一回土曜日の授業のみです。つまり、一学期で授業は4回のみ。もちろん、土日は一日中授業ですが。このシステムは、学生に平日は音楽療法士として働いてもらうのが目的です。音楽療法士としての毎日の経験を土曜のクラスでクラスメイトと情報交換するのも大切な授業の一環です。もちろん、音楽療法士としての経験が授業の課題などにもつながってきます。現在私は、小学校、中学校、高校、老人ホームで働いています。留学生は、ビザの問題が心配されますが、大学に依頼された音楽療法の仕事なので留学生の私も働く事ができます。そして、これがカリキュラムの一つでもあるからです。最後に、Certificate in Music Therapyについてお話しようと思います。

これは、大学を音楽または音楽療法に関連している専攻で既に卒業している人への新しいSUプログラムです。大概、音楽大学を演奏科で卒業したり、福祉科などで卒業したりした方がこのプログラムを選ぶ事が多いようです。最短で30単位で卒業出来ます。SUの音楽療法のカリキュラムは、だいたいこのような感じになっています。年々、SUの音楽療法の生徒は増えています。私がここに来た当初は、私を含め日本人は8人いました。しかし、途中で専攻を変えてしまう人も少なくありません。留学生だけではなく、アメリカ人にも大変なプログラムだからです。でも、音楽療法専攻の学生たちの団結力は固く、お互い助け合いながら頑張っています。私も来た当初は、英語に苦労してたくさんのクラスメイトに助けてもらったのを覚えています。彼らそして教授の助けがなければ、卒業は難しかったのではないかと思うぐらいです。この大学は、自分にとって良い大学だったように思います。最後まで読んでいただいてありがとうございます。

日本語のこんなに長い文章を書くのは久しぶりで緊張しました。ご意見、ご感想、ご質問等がありましたら、下記のeメールアドレスまで是非ご連絡お願い致します。
波多野玲美 remihatano@hotmail.com

 

[日本音楽療法情報]

◎伊賀音楽療法研究会 「H22年度第1回 音楽療法講座」
【日時】 平成22年5月31日(月)13:00~16:30
【場所】 上野ふれあいプラザ3階 中会議室
【講師】西出 薫さん
(伊賀市社会福祉協議会訪問看護ステーションうえの精神科認定看護師)
【内容】 講演『音楽と精神~精神科認定看護師の立場から~』(仮)
【参加費】一般:2,000円 /会員:無料
【申込・問い合わせ先】伊賀音楽療法研究会 事務局
〒518-0869伊賀市上野中町2976-1 上野ふれあいプラザ
伊賀市社会福祉協議会内
電話:0595(21)5866 FAX:0595(26)0002
Email:keikaku@hanzou.or.jp
参加ご希望の方は、氏名・所属・連絡先を添えて、
事務局までお申し込みください。
電話・FAX・メールにて受付いたします。

 
◎神経難病における音楽療法を考える会
「第7回 神経難病における音楽療法を考える会」
【日時】 平成22年7月16日(金)13:00~
【場所】 パシフィコ横浜 会議センター3階E会場
【大会長】吉井 文均(東海大学医学部神経内科教授)
【講師】加勢園子(日瑞音楽留学基金 理事長、
ストックホルム・エステルマルム音楽アカデミー院長
スウェーデン・ピアノ教育者連盟役員) 
【内容】特別講演『脳機能回復促進音楽療法について』
【参加費】1,000円 (神経治療学会参加者は無料)
【参加資格】興味をお持ちの方どなたでも参加していただけます
【連絡先】東海大学伊勢原キャンパス
〒259-1193 神奈川県伊勢原市下糟屋143
TEL:0463-93-1121(付属病院代表)
FAX:0463-92-6299
詳細はホームページをご覧ください。
http://www.hosp.yoka.hyogo.jp/musicmain/
【事務局】公立八鹿病院 音楽療法室
兵庫県養父市八鹿町八鹿1878-1
TEL:079-662-5555(代) FAX:079-662-3134

 
[編集後記]
いつも当研究会メールマガジンをお読みいただき、ありがとうございます。今号はパシフィコ横浜での「神経難病における音楽療法を考える会」と、伊賀音楽療法研究会の「精神と音楽」講座の情報をお届けしました。伊賀の方が参加費が高いですね…。
さて、年度が改まり、皆様も現場の編成替えなどで慌しくお過ごしの時期でしょうか。先日、日本音楽療法学会から新認定制度について案内が来ました。これからは音楽療法学会主催の「必修講習会」を受講し、認定療法士(補)の試験を受けて実践を重ね、実務期間を満たしたのちにもう一度面接試験を受ける形になるようですね。
今年の神戸学術大会から栗林先生・二俣先生による「必修講習会」が始まるようです。皆様は、新たなこの必修講習会のありかたや認定制度についてどうお考えになりますか?(吉)

[伊賀音楽療法研究会メールマガジン]
このメルマガは、毎月1回以上発行する予定です。
ご意見ご感想は、hanzou@lilac.ocn.ne.jp まで。
セミナー・講習会情報など、音楽療法に関する情報をお寄せください。

伊賀音楽療法研究会メールマガジン編集室
〒518-0869
三重県伊賀市上野中町2976-1上野ふれあいプラザ3階
伊賀市社会福祉協議会 
電話番号 0595-21-5866 FAX番号 0595-26-0002
Eメール hanzou@lilac.ocn.ne.jp
http://www.hanzou.or.jp/music/top-page.htm

 
※ JMTSP関連リンク

JMTSPは、世界各国で音楽療法を勉強、または実践している日本人学生と音楽療法士、また世界の音楽療法に興味を持つ方々の情報交換場所として設立されました。(Japanese Music Therapy Students & Professionals)
・ 公式ホームページ http://www.geocities.jp/jmtsp2004/
・ jmtspのブログ http://ameblo.jp/jmtsp/

 
※ ミュージックセラピー関連エントリー(美幌音楽人 加藤雅夫)

JMTSP アメリカ音楽療法だより 9月 (2009年09月17日付)
http://masaokato.jp/2009/09/17/004224

2010年 アメリカ音楽療法だより (2010年1月26日付)
http://masaokato.jp/2010/02/16/114340

2010年3月 アメリカ音楽療法だより (2010年3月10日付)
http://masaokato.jp/2010/02/16/114340#comment-1817

 
加藤 雅夫(bihorokato) on Twitter http://twitter.com/bihorokato

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