火山の災害について

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火山の災害について
Volcanic Disaster

防災 火山災害から身を守る
2015/01/08掲載(その他/本紙連載)

-雌阿寒岳を例に (3)
今から700年前と400年前にはレベル3の噴火
山頂部に今も残る噴火口

最大の噴火警戒レベル「5」は大噴火が発生し、火砕流や積雪期には融雪型火山泥流が居住地域まで到達するような状況で、雌阿寒岳では約1万2千年前に発生している。 その名も「雌阿寒岳が噴火する前に知っておきたいこと」と題し、雌阿寒岳火山防災会議協議会が作成した雌阿寒岳火山防災ガイドブック「雌阿寒岳とともに生きる」は、「雌阿寒岳とその周りは恵みがいっぱい」と自然環境の魅力を掲げるとともに、活火山の恐ろしさについてその生い立ちから解説している。 雌阿寒岳の最も大きな規模の噴火は約1万2千年前に起こり、火砕流が周囲に流れ下った。約7千年前と約2500年前~1100年前にも噴火した。 さらに約700年前と400年前には、現在の噴火警戒レベル「3」程度にあたる小噴火が発生。大きな噴石が2~3キロまで飛散し、火山灰が風下側の山麓に堆積した。 その跡は今も山頂部に口を開けるポンマチネシリの大きな旧火口と、隣りの赤沼火口として残る。火口のふちの登山道を歩くと、噴火の際に放出された大小さまざまな噴石が散らばっている。-つづく-

(掲載写真)
小さな噴煙を上げる赤沼火口。切り立った火口壁の向こうには眼下に足寄町が広がる。

防災 火山災害から身を守る – 経済の伝書鳩
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=83596

防災 火山災害から身を守る
2015/01/22掲載(その他/本紙連載)

-雌阿寒岳を例に(4)
大規模噴火は火砕流が派生
湖畔付近まで流れ

もし噴火が始まったら-という状況を想定し、雌阿寒岳を擁する釧路市は噴火のハザードマップを作成している。 それによると-
【小さな噴火が始まったら】 雌阿寒岳が20世紀に何度か発生した噴火の規模は、登山中でもない限り被害が発生しない非常に小さなものでした。しかし、数十年から数百年に一度はそれよりも規模が大きな噴火が起こることが噴出物や地形の調査研究から分かっています。例えば約400年前、ポンマチネシリの山頂部に赤沼火口を作った噴火がその一例。平成23年の霧島山新燃岳の噴火などでは噴石が火口から2キロより遠方へ飛来した事例もあります。
【最大級の噴火が起こったら】 雌阿寒岳では山麓まで火砕流を流すような大噴火が過去に3回起こったことが火山噴出物の調査研究で確認されています。融雪型泥流や土石流は谷を下り、土砂や樹木を削り取って量が増え、洪水よりも破壊力の大きな流れとなり、阿寒湖畔に近い国道240号の橋を破壊する可能性があります。
※ 火砕流と火砕サージは高温で流速が速いので、発生してから避難したのでは間に合いません。
-つづく-

(掲載写真)
足元に広がる中マチネシリ火口の先には阿寒温泉街が続く(昨年10月)

メモ
「火砕流と火砕サージ」=高温の溶岩のかけらと火山灰、そして溶岩から分離した火山ガスとが混ざり合って流れる現象が火砕流。多くの火砕流は500度を超す高温で、時速100キロを超えることがあります。火砕流から、細かな礫(れき)や火山灰と火山ガスだけさらに遠くまで流れ広がるのが火砕サージ。樹木や建物は倒壊し、炎上してしまいます。
(雌阿寒岳火山防災ガイドブック「雌阿寒岳とともに生きる」より)

防災 火山災害から身を守る – 経済の伝書鳩
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=83856

防災 火山災害から身を守る
2015/01/30掲載(その他/本紙連載)

-雌阿寒岳を例に (5)
勧告や指示が出たら…噴火のときの避難
鉄筋コンクリート造の建物2階へ

雌阿寒岳に異常が感じられたらどうするか?異常が発生した時は、各自治体から避難についての情報が発表されることがある。

【小さな噴火が起きたときの避難のしかた】
雌阿寒温泉・オンネトー地区は山頂の火口からおよそ3キロ以内にあり、小さな噴火でも噴石の飛来や泥流により被害が出ることがあります。管轄の足寄町は避難勧告や避難指示を出すことがあります。 このときはすぐに避難所に避難しましょう。避難しないうちに泥流が発生してしまったときは、避難路が泥流に襲われる可能性があるので、雌阿寒温泉ではオンネトーに向かう舗装道路の坂を上った場所、オンネトーの周辺では雌阿寒岳から見て湖の反対側が安全です。ここに一時避難し、救助を待ってください。 阿寒湖温泉地区は、泥流・土石流が発生する恐れがあるとき、釧路市が避難勧告や避難指示を出すことがあります。早めに避難所に避難しましょう。避難する前に泥流が発生してしまったときは、エコミュージアムセンターや阿寒中学校などの高台や鉄筋コンクリートづくりのホテルの2階より上に一時的に避難しましょう。

【万が一最大級の噴火が発生したら】
避難が必要な範囲はさらに広くなり、長期化します。家を失うこともあります。(雌阿寒岳火山防災ガイドブック「雌阿寒岳とともに生きる」より) -つづく-

防災 火山災害から身を守る – 経済の伝書鳩
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=84005

防災 火山災害から身を守る
2015/02/04掲載(その他/本紙連載)

-雌阿寒岳を例に (完)

知って安心Q&A
Q 噴火の情報はどこが出すの?
A 火山情報は気象台から発表され、報道機関を通じて住民や観光客に伝達されます。
Q 噴火の情報はなぜわかるの?
A 気象庁や北海道は2カ所の監視カメラをはじめ地震計や火山体の変形をとらえる傾斜計などさまざまな観測機器を設置して常時監視しています。結果はインターネットで公開しているので、誰でも雌阿寒岳の現在の状況を知ることができますが、実際に目で見て異変がないか気づくことも重要です。雌阿寒岳に異常があった時の連絡は釧路地方気象台(TEL0154-31-5110=24時間対応)などへ。
Q いつ避難するの?
A 住民や観光客に避難が必要と判断したときは、市役所・町役場は避難勧告や避難指示を出します。噴火後に大雨が降って土石流が発生しそうな時も同様です。速やかに避難しましょう。

気象庁HPに情報提供ページが
気象庁は昨年10月、ホームページ(HP)に「火山登山者向けの情報提供ページ」を新たに設けた。火山情報を登山者などへ迅速かつ的確に提供するのが狙い。気象庁HPのトップページにバナーをはったほか、各気象台が同ページへのリンクを情報発信している。 道内20の火山などの各最新情報を知ることができる。 雌阿寒岳の噴火予報は「噴火警戒レベル1、平常」(昨年10月31日現在)となっている。 さらに札幌管区気象台火山監視・情報センターは火山活動解説資料を毎月発表。このうち雌阿寒岳の9月の状況については「おおむね静かに経過しており、火口周辺に影響を及ぼす噴火の兆候は認められません。全磁力連続観測によると、ポンマチネシリ96-1火口南側地下の温度の上がった状態が継続している可能性があります。今後の火山活動の推移に注意してください。平成21年4月10日に噴火予報(噴火警戒レベル1、平常)を発表しました。その後、予報事項に変化はありません」としている。 -完- (寒)

(掲載写真)
気象台などが7合目に設置している地震計などの観測機材
子ども連れのファミリー登山が楽しめるのが雌阿寒岳の魅力(山頂近くの稜線。左手には火口が迫る)

防災 火山災害から身を守る – 経済の伝書鳩
http://denshobato.com/BD/N/page.php?id=84095

関連記事

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雌阿寒岳
Mount Meakan
雌阿寒岳(めあかんだけ)は、北海道、阿寒の活火山で標高1,499m。 国土地理院による正式名称は雌阿寒岳だが、深田久弥の百名山をはじめ一般に阿寒岳というと、この雌阿寒岳を指すことが多い。 阿寒の名を冠する山は他に二座あり、雌阿寒岳の近くに阿寒富士(1,476m)、少し離れて雄阿寒岳(1,371m)がある。何れも火山である。雄阿寒岳と阿寒富士は今のところ静かだが、雌阿寒岳は現在もさかんに活動している。(http://ja.wikipedia.org/wiki/雌阿寒岳

雄阿寒岳
Mount Oakan
雄阿寒岳(おあかんだけ)は、北海道釧路市阿寒町にある第四紀火山。 麓にはマリモの生育する阿寒湖と阿寒湖畔温泉街が広がる。以前は活火山ではないとされていたが、過去1万年以内に噴火していたことが判明したとして2011年6月7日に活火山に選定された。西方向にそびえる雌阿寒岳は現在も活発に活動している活火山である。(http://ja.wikipedia.org/wiki/雄阿寒岳

阿寒富士
Mount Akan-Fuji
阿寒富士(あかんふじ)は、美しい円錐状の山容を持つ北海道東部に位置する活火山である。(http://ja.wikipedia.org/wiki/阿寒富士

阿寒岳
Akan Volcanic Complex
阿寒岳(あかんだけ)
雌阿寒岳(めあかんだけ)は阿寒国立公園にある1499mの火山。深田久弥の『日本百名山』をはじめとして、一般的に阿寒岳というとこの山を指すことが多い。 雄阿寒岳(おあかんだけ)は阿寒国立公園にある1371mの火山。 阿寒富士(あかんふじ)は阿寒国立公園にある1476mの火山。(http://ja.wikipedia.org/wiki/阿寒岳

活火山
Active volcano
活火山(かつかざん、かっかざん、active volcano)とは、“概ね過去1万年以内に噴火した火山及び現在活発な噴気活動のある火山”である(日本の火山噴火予知連絡会・気象庁による定義)。この定義による2012年現在の“日本の活火山数は110火山“である。(http://ja.wikipedia.org/wiki/活火山

関連動画


噴気音聞き火山学ぶ 雌阿寒岳で登山会
http://youtu.be/t9Kux46xBmI


北海道十勝岳で小規模噴火の恐れ 噴火警戒レベル2に (2014/12/16) 北海道新聞
http://youtu.be/B6qjkxb3ESI

関連サイト

ハザードマップ(津波・洪水・火山)|北海道釧路市ホームページ
http://www.city.kushiro.lg.jp/bousaikyu/bousai/map/0100

火山災害|北海道釧路市ホームページ
http://www.city.kushiro.lg.jp/bousaikyu/bousai/saigai/kazansaigai/cat00001008.html

雌阿寒岳 火山噴火警戒避難対策事業の取り組み
http://www.meakandake.org/

雌阿寒岳火山防災会議協議会 – 釧路総合振興局
http://www.kushiro.pref.hokkaido.lg.jp/ts/tss/bousai/meakann-p3.htm

NHK札幌放送局|火山と生きる 火山を学ぶ
http://www.nhk.or.jp/sapporo/kazan/

防災チャンネル – 政府インターネットテレビ
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg7040.html?c=51

災害関連ツイッター | 首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/twitter.html

防災の手引き~いろんな災害を知って備えよう~ | 首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/

国の政策(政策情報ポータル) | 首相官邸ホームページ
http://www.kantei.go.jp/jp/joho/

気象庁|主な火山災害
http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kaisetsu/volsaigai/saigai.html

消防防災博物館:調べる-火山災害の基礎知識-
http://www.bousaihaku.com/cgi-bin/hp/index2.cgi?ac1=B103&Page=hpd2_tmp

関連エントリ

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1988年12月19日、北海道の十勝岳が噴火(26年ぶり)
http://masaokato.jp/2011/12/19/120014

「雌阿寒岳」 (北海道の活火山)
http://masaokato.jp/2014/10/06/003531

火山登山者のための情報を提供します (気象庁ホームページ)
http://masaokato.jp/2014/10/16/040400

火山災害 の検索結果
http://masaokato.jp/?s=火山災害

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