「NAMMショー」(アメリカの音楽療法士、細江克洋)

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伊賀音楽療法研究会(三重県伊賀市)から「日本と世界の音楽療法情報」が送られてきました。

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伊賀音楽療法研究会メールマガジン7月号(No.132)

[世界音楽療法情報]

JMTSPアメリカ音楽療法だより(77)
 皆様こんにちは。今回、7月号のメールマガジンを担当させていただく細江克洋と申します。現在、南カリフォルニアにあるPatton State Hospitalという州立司法精神病院に所属しております。今年の夏で勤務してから3年と半年が過ぎました。 前回投稿させていただいた時は2006年で、まだ私が学生で音楽療法のドキュメンテーションについて書かせていただきましたが、あれからもう6年が過ぎたと思うと、本当に時間が過ぎるのは早いものと痛感しております。今回の記事では、職場で音楽療法士としての楽器、機材、テクノロジーの知識の重要性、そしてカリフォルニア州のアナハイムでNAMM(National Association of Music Merchants)ショーに参加した時の体験について書きたいと思っております。
 私は、今までプライベートの趣味の一つとして色々なアマチュアバンドに参加してきたのですが、ピアノ、ギター、ベースと色々な楽器を演奏したり、デモ音源を作成したり、レコーディングの現場に参加したりするうちに楽器、機材や音楽テクノロジーにとても興味をもつようになりました。私の現在の職場で行っている音楽療法のグループの一つに患者さんのバンド演奏のグループがあります。そのグループでは楽器の知識はもちろんの事、機材や、録音、テクノロジーの知識等、私自身のバンド活動の経験がとても役に立っています。
 バンド演奏のグループでは、患者さんがリハーサルで曲のレパートリーを練習し 、病院内で定期的にコンサートを行っています。リハーサルやコンサートでは、ちゃんとコードでつながっているのにアンプやスピーカーから音がでなかったり、雑音が入ったり、音が割れてしまったりと、何かしら楽器や機材のトラブルがよくあります。その際、コード、ケーブルは正しい入力/出力端子に接続されているか、ケーブルや、エレキギターの内部配線が断線していないか、キーボード、アンプの入/出力端子は接触不良していないか等、アンプのボリューム/EQのバランスはとれているのか等、瞬時に判断する事によって、代わりの機材で対処したり、応急処置をすることが出来ます。そしてそれにより、その日のリハーサル、コンサートを乗り切る事にもつながります。また、トラブルが起こった場合でも、配線、コードの断線などは「はんだゴテ」を使用する事で、意外と簡単に直す事が可能ですが、キーボードやアンプの内部回路のトラブルのように修理が複雑になってしまった場合等、専門家に頼まなければならないのか、また直す価値がある物なのか、新品を買った方が良いのか等判断しなければなりません。病院や会社の音楽療法のプログラムではその年の経費にも限りがあるので、修理に関する知識があると余分な経費を使わなくてすむよう対処する事も可能だと思います。
 また、患者さんのバンドのグループでは演奏中に気づけない事を後から気づけるということでリハーサルの段階で演奏を録音する事があります。バンド演奏の際、一人だけ楽器のボリュームが極端に大きかったり、演奏するテンポが速かったりと、他のメンバーたちから意見を言われたときなかなか受け入れる事ができず、バンド内で患者さん同士の意見が衝突してしまう事がよくあります。精神科の患者さんの中には、もともと楽器演奏の経験があり高い演奏能力があるのですが一方で、自分自身の行動に客観的に目を向ける事が困難な患者さんが少なくありません。そのような時に、バンド全体の演奏を録音し、それぞれの演奏をメンバーと一緒に聴く事によって、演奏のテンポはバランスがとれているか、リズムはあっているか、全体のボリュームのバランスは大丈夫か等、お互いを客観的に見る事できます。バンド演奏ではメンバーがお互いに目を向け合い、お互いを聞き合い、チームワークで音楽を作り上げるという作業がとても重要になってきます。自分自身の演奏がバンド内でどう影響しているか、バンド内での演奏に何が起こっているのかを他のメンバーたちと一緒にプロセスしながら問題解決をしていくという事は社会生活においてもとても大切な作業だと思います。最近では、バンド演奏を録音する場合、 デジカメと同じメモリーカードに録音できて、ステレオマイクを搭載した手軽に高音質で録音できるポータブルなデジタル録音器も利用できるようになってきました。マイクをマイクスタンドへ立てたり、それぞれの楽器別にパソコンやマルチトラックレコーダーに接続したり、細かい録音機材をセットアップする必要がなく、ポータブル録音機をバンドの真ん中へ置くだけで、簡単にバンドのデモ演奏を録音できるので便利です。
 次に初めての参加となったNAMMショーでの体験を書きたいと思います。NAMMショーは楽器業界の方はご存知かと思いますが、アメリカではよくカリフォルニアのアナハイムで行われる世界楽器産業の頂点となる楽器、機材の国際展示会です。今回、職場の同僚の方伝えで、会場へ入場することができたのですが、実際に行ってみて本当に「すごい」の一言です。打楽器、弦楽器、鍵盤楽器、木管/金管楽器の楽器メーカーはもちろん、アンプやマイク等の録音機材、ステージ/照明機器、そして音楽出版社等など、ありとあらゆる音楽、楽器に関わる会社で集結しており、楽器、機材好きな私にとっては、もうたまらない所でした。会場はとてつもなく広く、ブースのフロアでは最新の楽器、新製品の展示、中には、1000万円近くする、大変貴重なギターも展示されていました。また、新しい機器やソフトウェアをミュージシャンとともにデモンストレーションしたり、プロモーションビデオを流したり、会場中が活気にあふれていました。ミュージシャンのサイン会も開催され、長蛇の列ができていたブースもありました。
 本当にあまりの数に圧倒され、楽器業界の広さに驚かされっぱなしでした。今回、特に興味深かったのが音楽テクノロジー関連で、高価なマイクやアンプ、録音機材がなくても、家庭で楽器をパソコンにつなぐだけで、プロ並の音質で録音できる、というようなデモンストレーションが音楽ソフトウェア関連のブースで数多く行われており、高音質で、簡単に録音/編集できる環境が本当に身近で可能になってきていると気づかされました。さらに、電子ピアノ、キーボードも、確かに生のコンサートグランドピアノにはかなわないけれど、一瞬本物のグランドピアノかと思うほどに、忠実に再現したものもあり、また鍵盤のタッチも目をつむって弾いてみるとアコースティックのピアノと違いがほとんどわからないくらいで、楽器、音楽テクノロジーの近年の発達には本当に驚かされました。
 楽器、機材、音楽テクノロジーは、プロのミュージシャンだけでなく音楽療法士にも音、音楽を扱う点で必要不可欠です。私自身が、個人的に良い刺激をもらったのはもちろん、音楽療法士としても、どれほど楽器、音楽テクノロジーが現在の音楽療法に浸透しているのかを改めて実感し、また今後の音楽療法の実践にどのように関わっていくのかいろいろ考えさせられ、本当に参加する事ができてよかったです。将来機会がありましたら、ぜひまたNAMMショーに参加したいと思っております。
 近年、 テクノロジーは以前に比べ飛躍的に発達してきております。私がまだ小さかった頃、オーディオはアナログでカセットテープが全盛で、CDなんかまだ誰も持っていませんでしたし、ビデオもVHS、8ミリビデオ、まだベータもあった時代です。インターネットもなかったですし、当時ワープロはあってもコンピューターは今のように全然普及していなかったと思います 。それから今までの間、CDが出てきて、MiniDisc、そしてコンピューターが普及し、mp3、iPod、 DVD等、ここ10年、20年の間にテクノロジーは本当に進化してきました。オーディオレコーディングも、アップルのガレージバンドのように、以前とは比べ物にならないくらい高音質な音楽制作環境が、簡単に一般の家庭でも利用できるようになってきましたし、今ではビデオも家庭でパソコンを使って簡単に編集できる時代です。現在音楽療法の分野でも、臨床や研究でデータを記録また分析するのに、専門機器やソフトウェアなど様々なテクノロジーを使用している音楽療法士の方も多いのではないでしょうか。
 アメリカの音楽療法士の資格を認定している機関である CBMT(Certification Board for Music Therapists)が、音楽療法の実践を細かく分類しているリストにScope of Practiceとよばれるものがあります。その中には、テクノロジーに関する知識/能力を継続的に高めることも含まれています。時代が進んでいくにつれて、音楽テクノロジーはこれからもどんどん発達していくと思われます。これから将来、音楽療法の分野でも今では想像もつかない新しいテクノロジーが開発されているかもしれません。クライエントのために役に立つのであれば、目的に沿ってテクノロジーを利用することは音楽療法士として大切な事だと思います。これからも現在のテクノロジーはもちろん、新たに開発され進化するテクノロジーにも目を向けていきたいと私は考えております。
 最後まで記事を読んでいただいて、ありがとうございました。記事の内容に関してご意見、ご感想等ございましたら、katsuhirohosoe◎hotmail.com にご連絡いただけると幸いです。
細江 克洋

[編集後記]
 7月5日、お隣の奈良市音楽療法室さんと当研究会の交流会のため奈良市へお邪魔してきました。
 私達の研究会は、設立当初から3回程この音楽療法室(当時:推進室)さんを視察研修しています。2度目には市内3か所(現在は5か所)で展開中のシルバーコーラスを見学させていただき、「こんな場を地元でもつくりたい!」と立ち上げた「歌おう会」も3月に10周年。参加者のみなさんに舞台に立ってもらってコンサートが出来るまでに成長しました。今回は視察研修ではなく交流会ということで、両市の取り組み報告とネタ紹介、意見交換を行いました。
 研究会仲間たちの多くは、「そう、ここから始まったんだったなあ」と、活動の原点に立ち返った思いを抱いて感慨深げでした。新しい会員にとっても、他市の取り組みを学べたこと、研究会のあゆみを垣間見られたことは収穫だったのではないでしょうか。
 数年前から「いつか交流したいですね」と温めてきた企画がやっと実現し、有意義なうれしい日になりました。(文責:吉田)

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関連サイト:

NAMM.org | believe in music
http://www.namm.org/thenammshow/2013

関連エントリー:

NAMM の検索結果 – 美幌音楽人 加藤雅夫
http://masaokato.jp/?s=NAMM

アメリカ音楽療法 の検索結果 – 美幌音楽人 加藤雅夫
http://masaokato.jp/アメリカ音楽療法

世界音楽療法 の検索結果 – 美幌音楽人 加藤雅夫
http://masaokato.jp/世界音楽療法

日本音楽療法 の検索結果 – 美幌音楽人 加藤雅夫
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中井弥生 Yayoi Nakai @MTBCYAYA
シカゴで音楽療法士として勤務後、音楽療法かけはしの会副理事。Board certified music therapist. Neurologic music therapist. Vice-president of Kakehashi music therapy connection group
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加藤 雅夫
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みなさま、イランカラプテ!日本と世界の人々と共に“平和心”を大切に育てる事が私の願いです。Guitar Mandolin Music 美幌音楽人
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2 件のコメント

  1. デジタルギター VS エレクトリックギターの違い? – 美幌音楽人 加藤雅夫
    http://masaokato.jp/2010/02/09/165241

    加藤 雅夫 より 2012 年 7 月 12 日 01:06

  2. My Digital Guitar Life / bihorokato (Japan guitarist) – 美幌音楽人 加藤雅夫
    http://masaokato.jp/2010/02/11/154108

    加藤 雅夫 より 2012 年 7 月 12 日 01:12

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