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凶悪犯罪と死刑制度を考える（Toronto, Canada）

凶悪犯罪と死刑制度を考える（Toronto, Canada）

2012年02月24日(金) 18:11
カテゴリ: Twitter, e-nikka, お知らせ, カナダ, ギター, トロント, 北海道人, 北米, 国際, 地震, 日本, 日本映画, 映画, 観光, 防災・防犯, 音楽
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カナダ（トロント）の e-nikka編集長・色本信夫さんから、e-nikkaメールニュース配信 2012年（平成24年）2月23日（木曜日）号が送られてきました。日本の皆様にご案内いたします。

今週のe-nikkaから　2012年（平成24年）2月23日号
編集長　色本信夫

トロント公演を前に記者会見に臨んだ日本のロックバンド「モンキーマジック」の４人。（左から）DICK（ベース）、Maynard（ボーカル＆ギター）、Blaise（同）、tax（ドラム）　（２月19日午前、トロントのフェアモント・ロイヤルヨークホテルにて）　【「今週のトピックス」をご覧ください】

グレングールド奨学金を得てトロントのロイヤルコンサーバトリー・オブ・ミュージック（ＲＣＭ）に留学中のピアニスト工藤寛子さん　【「今週のトピックス・インタビュー」をご覧ください】

「千羽鶴」上演が終わり舞台で挨拶する劇団文化座の出演者の皆さん。中央で花束を持っている女性は佐々木愛座長（２月10日、バンクーバーのＢＣ大学フレデリック・ウッド・シアターにて）撮影：妹尾翠　【「今週のトピックス」をご覧ください】

トロントのギャラリーＭＯＣＣＡに展示されているアーティスト武谷大介さんの東日本大震災をテーマにした作品「GOD Loves Japan」　【「コミュニティーニュース」をご覧ください】

凶悪犯罪と死刑制度を考える
少年が犯した殺人で死刑判決は妥当かどうか。いま、日本で話題にのぼっている。
山口県光市のアパートで1999年４月14日に発生した母子殺害事件。犯人は排水管検査を装って訪問した少年だった。抵抗する若い母親（当時23歳）の首を絞めて殺し、強姦（ごうかん）。さらに泣き続けていた女の赤ちゃん（生後11カ月）を床にたたきつけ、首を絞めて殺した。
元少年は殺人罪と強姦罪で起訴。裁判は大きく変遷した。元少年は犯行当時、年齢が18歳１カ月。検察側の死刑求刑に対し、一審の山口地裁は無期懲役とし、二審・広島高裁も無期懲役を支持した。しかし、2006年の最高裁判決は「無期懲役は不当」として、審理を広島高裁に差し戻した。その広島高裁は2008年に死刑を言い渡し、弁護側は上告していたが、今年２月20日、最高裁は上告を棄却して、元少年の死刑が確定することになった。
一連の裁判で、「18歳１カ月」の犯罪に対して死刑判決はどうなのか。「これからの人生で更生する可能性があるのではないか」──こんな意見が出た。これに対して、「犯行は、冷酷、残虐で非人間的だ。死刑は是認せざるを得ない」といった意見も・・・。
元少年と母親は、父親の家庭内暴力にさらされ、その結果、母親が自宅の物置で自殺死。その後、父親は外国人女性と再婚して子供が生まれたが、元少年との家族関係はうまくいかなかったという。こうした不遇な家庭環境にいた元少年に同情する向きもある。
しかし、そうとはいえ、死刑を回避する理由にはあたらないとする意見が強いことも確かだ。
日本での論争は、少年犯罪の死刑判決の是非から、死刑制度そのものの是非論にまで発展している。死刑廃止論者は「そもそも国家が人の命を断つ権利があるのか」と疑問を投げかける。一方、「人の命を奪うような残虐な行為をした者は死をもって償うのが当然だ」と主張する人も少なくない。
ところで、われわれが住むカナダでは死刑制度はどうなっているのだろうか。
「カナダ死刑史」をひもとくと、開拓時代の1865年、刑法で殺人罪、反逆罪、強姦罪に対して死刑を規定。1954年強姦罪の死刑規定廃止。1966年一般殺人罪について死刑規定廃止、警官及び刑務官殺害についてのみ存置（1976年警官及び刑務官殺害罪から死刑規定廃止）と変遷をたどり、1976年には保釈なしの終身刑が死刑の代替刑として採用されるようになる。実際にカナダで最後に死刑が執行されたのは1962年だというから、この50年間、死刑は行われていないことになる。その間、1987年には連邦議会に死刑復活法案が提出されたが、否決された。特に英国国教会などを中心とするキリスト教勢力が積極的に反対したという。
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは死刑制度を維持している国々に制度廃止を働きかけている。現在、世界で死刑廃止国が139カ国、存置国はアメリカ、中国、日本など58カ国となっている。
少年犯罪の裁き方、あるいは死刑の是非など、課題は多く残されている。ただ、犯人が死刑を執行されたとしても、その犠牲者の生命は返ってこないのが、むなしい。
光市の母子殺害事件の死刑判決を傍聴席で聞いた被害者の夫・父親の男性（35歳）は、「ずっと死刑を科すことについて考え、悩んできた13年間でした」と語っていた。それほど死刑は重いものなのだ。
【編集部より】死刑制度についてあなたのご意見をお寄せください。

それでは、今週も「e-nikka」をご愛読ください。

【今週のトピックス】

【インタビュー】
グレングールド奨学金を得てＲＣＭで学ぶ
ピアニスト、工藤寛子さん

【ロックバンド】
日本大震災復興支援の「KIZUNA 大使」
「モンキーマジック」トロントとオタワで公演

【核兵器】
コーリン･トーマス原作「千羽鶴」
劇団文化座がバンクーバーで初公演

【シネマ】
小人の冒険を描いたスタジオ・ジブリのアニメーション
THE SECRET WORLD OF ARRIETTY (邦題「借りぐらしのアリエッティ」)

【今週のおすすめ本】
「しつこい怒り」が消えてなくなる本
石原加受子／著
すばる舎

気仙沼市の被災者支援プロジェクト公式ポスター
トロントのアーティスト武谷大介さんが描く

【コミュニティーニュース】
武谷大介さん、東日本大震災テーマの作品
「GOD Loves Japan」トロントで展示中

ワーホリ＆留学生とカナダ人の団体「Japan Aid」
被災者支援イベント、３月30日（金）に開催

新企会チャリティーゴルフ大会
カナダと被災地の学生に贈る奨学金を募金
７月22日（日）アンガスグレン・ゴルフクラブ

トロントのＪＦＴ、東北サッカー協会に義援金
「Kick it for Japan ２」　
３月10日（土）に大規模な募金イベント開催

ＪＣＣＣ春祭り
３月３日（土）＆４日（日）

アトランティックカナダ日本語弁論大会
３月10日（土）ＮＢ州セントトーマス大学

アニメ「河童のクゥと夏休み」無料上映会
３月４日（日）午後３時30分、モントリオール美術館

オンタリオ州日本語弁論大会
３月10日（土）午後、トロント大学で開催

ケベック州日本語弁論大会
３月18日（日）午前、マギル大学で開催

東日本大震災復興支援チャリティーコンサート
「祈り 2012」３月10日（土）モントリオールで開催

【カナダニュース】
バンクーバーのスタンレーカップ暴動裁判、20歳の男に懲役１年５カ月
ハーパー首相一行が中国訪問、中国首脳と貿易拡大などを討議

【お店掲示板】
ひな祭りに｢雛弁当｣ご注文うけたまわります
懐石遊膳橋本

【お出かけガイド】
ウエストフィールド・ヘリテージ村
３月４日からスタート

エルマイラ･メープルシロップ祭り
今年は３月31日（土）に開催

コートライトセンター、４月９日まで
メープルシロップ採取見学＆祭り

プリンス・エドワード・カウンティー
３月31日（土）－４月１日（日）

ブルース・ミル
３月３日（土）－４月９日（イースターマンデー）

震災ドキュメント「PRAY FOR JAPAN 心を一つに」
３月１４日（水）トロントとモントリオールで上映

KITA-NO-TAIKO 和太鼓チャリティー演奏会
３月３日＆４日、アルバータ大学

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