Eye-hand Cordination(JMTSPアメリカ音楽療法だより)
伊賀音楽療法研究会(三重県伊賀市)から「世界と日本の音楽療法情報」が送られてきました。
伊賀音楽療法研究会メールマガジン2月号(No.127)
[世界音楽療法情報]
JMTSPアメリカ音楽療法だより(73)
皆様こんにちは。2月号のメールマガジンを担当させていただきました、カリフォルニア州シリコンバレー在住のアヤセ サックスマンと申します。2年前にも一度投稿させていただきましたが、今回もこうして書かせていただき光栄です。今日は1年半前に始めた日本人の子どもたち(新生児・3歳半前後)のための日本語グループ音楽クラスについてお話しさせていただきたいと思います。このクラスはスペシャルニーズの子どもたちのみにしている訳ではないのですが、自分が今までに得て来た音楽療法の知識を精一杯取り入れてきたクラスなので、この経験を皆さんとシェアしたいと思いました。
2009年の冬に娘を出産し、3ヶ月後にカリフォルニアへ引っ越しました。自分も仕事を辞め、楽器に触れなくなるのが寂しかったので、娘には産まれたときからずっと音楽を聞かせたり楽器に触れさせたりして過ごしました。新地でも少しずつ友人が出来始めた頃、娘とする音楽も、友達と一緒にすれば楽しいだろうと、娘と同じ年齢の赤ちゃんをお持ちのママたちを数人誘って、月に1、2度自宅で音楽クラスを始めたのがきっかけでした。続けているうちに、それが、少しずつ口コミで広がり今まで多くの親子様方に訪ねていただきました。今現在では、0歳から3歳半までの子どもたちを年の近い同士3つのグループに分け隔週で音楽クラスをしています。はじめは、子育てをするもの同士、気分転換に子どもの遊び場、ママたちのしゃべり場となればいいなと思っていましたが、このクラスが子どもたちの成長に少しでも役に立つのならと、もっと本格的にセッションをしようと思い始めました。娘のユナも一緒に参加する事でお友達が増え喜んでくれているので、母としてもさらにやる気がでます。
今までずっと英語で音楽療法士の仕事をしていたため、日本語でクラスをするのは初めてでした。はじめは、私がアメリカでやって来た音楽療法スタイルをそのまま日本語に置き換えればいいだろうと軽く思っていたのですが、なかなかそういう訳にもいかず、四苦八苦しつつも、少しずつ改善を加え、私らしいクラスにしたいと思いました。
自分の娘を見ていて実感しましたが、子どもの成長とは本当に早いものです。産まれてはじめの3年でこんなにも成長し、日に日に変化が見られ驚きと発見の毎日です。この1年半で50人以上の子どもたちと出会ってきましたが、皆違う色を持ち、小さな赤ちゃんでも一人一人に特徴があり、性格、言葉の発達、運動能力もそれぞれ違います。0歳と1歳では全く違いますし、2歳と3歳ではまたできる事が変わってくる。
また、他国で生まれ育つ日本人として、3歳と言えど、二つの文化の違いの中で多くの疑問と発見に出会うでしょう。ご両親が日本人である子どもと、ハーフの子どもでもまた環境が変わって来るでしょう。ですので子どもたち一人一人の特徴を理解し、その子にあったスタイルでどんなアプローチが必要なのか考えるように常に努めています。そして音楽が彼らのスキルの成長にどうつながって行けるのか。 始めは、「小さな赤ちゃんに何かできるんですか?」と疑問に思ったり「日本語に触れていてくれればいい」「音楽を聞いているとよろこんでいるみたいなので」とおっしゃっていたママたちも「このアクティビティには赤ちゃんのこういったスキルを促進する目的があるんです。」と紹介しながらすると、もっと興味を持ってくれるようになり、積極的に参加してくれようになりました。「クラスの後は昼寝をぐっすりしてくれる」「おもちゃの順番を待てるようになった」「他人と挨拶するようになった」「このお歌を歌うとすんなりおむつを替えさせてくれるんですよ」など、時々こういったコメントをいただくと、細やかながら役に立ってくれているのだろうかと嬉しくなります。
今日は年齢ごとに私がクラスでアクティビティをするにあたって、今まで私なりに経験した事から作り出したゴールを簡単なリストにして紹介させて頂きたいと思います。言葉もポピュレーションも全く違うけれど、昔の仕事経験がとても役にたったので、同じ年齢のお子様とお仕事をされる方や、またはスペシャルニーズの子どもたちへのセッションでも、少しでも参考になっていただければ光栄です。クラスは3~5人の少人数グループです。少人数だとアクティビティ中一人一人に注意が払え、アクティビティの構成もしやすくなります。全ては書ききれませんが、以下のようにまとめて見ました。0歳1歳又はヨチヨチ歩きごろまで
1歳未満のクラスでは、主にママとのスキンシップを大切にしています。そしてさまざまな楽器や道具をを紹介していき、ベビーたちの聴覚、視覚、触覚(時には味覚、嗅覚も!)刺激していきます。まだ自分からは多くの事は出来ないかもしれないけれど、スポンジのように色んな事を吸収してくれています。主なアクティビティ:
1.ドラムやさまざまな楽器から生まれる振動を肌で感じる事。
2.大小さまざまな大きさ、形の楽器に触れることで手足の運動、器用さを促す。
3.色とりどりの道具を使用して子どもたちの視覚を刺激
4.お歌にあわせて、ママとのスキンシップ
5.シンプルなリズム、ビートに合わせてはずむ、ゆれる。
6.強/弱、早/遅、動/止 などの違いを感じる 等。以下のリンクは、娘と一緒に Eye-hand Cordinationの練習ビデオです。生後8ヶ月。
http://www.youtube.com/watch?NR=1&feature=endscreen&v=L6ySJYT0CKg
ヨチヨチ歩き期から?:
1歳未満のクラスで行うアクティビティに加え、自分で歩けるようになり、手先ももっと器用になってきたベビー達には、楽器の種類も増え、アクティビティにもバラエティができてきます。歩き出すとじっとはしていられません。クラスでは音楽に合わせて自由に歩き回ってもらい、いろんな楽器にも触れてもらいます。人の物に興味を持ち出したり、人のまねを始めたりする時期。そんな彼らのすばらしい観察力と好奇心を促進することがこのクラスのゴールのひとつです。1.音楽に合わせて、自由に歩く、弾む、ゆれる、手をたたく、足ふみをする、楽器をひく。
2.シンプルなリズムを紹介。123ジャーーンプとタイミングで高い高いをするなど、リズム感を養う。
3.動物の名前や鳴き声などを聞いて絵を見ながら学ぶ。
4.頭、手、足、など、体の名前をお歌にあわせて学習。
5.ママやお友達を見ながら皆のまねっこ。
6.短い子供の絵本をよむ 等。2歳3歳頃:
運動神経もさらによくなり、言葉もどんどん覚えていく頃。言葉でのコミュニケーションがかなりできるようになり、自分の意思もしっかりしてきます。少し難しいリズムをまねすることができるようになったり、短いお歌を自分で歌えるようになってきます。そろそろママ以外のお友達とコミュニケーションがはじまる頃。他の子どもたちとの交流、おもちゃや楽器のシェア、自分の番を待つなど、ソーシャライズを促すアクティビティも増えてきます。主なアクティビティ:2歳以下のクラスのアクティビティや目標も含め
1.仲間同士で楽器やツールのシェア。
2.日本のわらべ歌や童謡をより頻繁に紹介。
3.アクティビティの中で自分の番を待つ
4.少し難度の高い手遊びや言葉あそび
5.楽器を自分で持って弾く。
6.テーマのある音楽遊びで想像力を刺激(例、いろんな動物になってみよう!森の中へ探検にいこう。)
7.先生のまねっこ、お友達のまねっこ 等。
子どもの事ばかり書きましたが、一緒にクラスに来てくださる保護者の方々との会話も大切にしています。クラスの後にお茶を飲みながら、皆さんとお話をします。テーマも無く特別な事はしませんが、人とふれ合い、自分の中にある気持ちを外に出す場が大切だと思っています。真剣な話をして皆で相談にのる時もあり、楽しい話題で笑う時もある。皆さんお昼過ぎにクラスに来て、夕方になって「さぁ、今日の晩ご飯何にするかなぁ」と帰って行きます。「子どものためにクラスにくる」のではなく、「一緒にクラスに来る」と思ってもらえるようなクラスになれたらいいなと思います。まだまだ学ぶ事ばかりですが、これからも長く続けて行けたらなぁと思います。アメリカで日本語で教える機会ができてとても嬉しく思います。
最後に、今年に入って始めたGoogle siteで、自分のクラスで紹介したお歌や、手遊びを載せて行く事にしました。始めは、「クラスで学んでも家に帰ったら忘れてしまう」というママたちからのリクエストで作る決心をしました。とってもシンプルなサイトですが、子どもたちのスキルに会わせて作ったオリジナルの曲もあります。あとはMTセッションで使えるお勧めの音楽やCDも紹介して行く予定です(英語日本語両方)。
全てを載せるにはかなり時間が掛かりますが少しずつアップして行く予定です。今現在は一般公開ではなく、クラスの参加者と限られた者のみ閲覧可としておりますので、もし興味を持っていただけましたら、簡単な自己紹介を添えてリクエストを送っていただければと思います。
https://sites.google.com/site/ayamusiccircle/
この度はメールマガジン2月号を担当させていただきありがとうございました。[編集後記]
先週末の2月5日(日)、伊賀音楽療法研究会主催で音楽療法講演会を開催しました。当メールマガジンから講座情報を得て参加してくださった方もおられ、大変うれしかったです。
講師は三重大学教育学部の根津知佳子教授、特別支援教育に使われている教科書☆(星1)~☆☆☆(星3)そして新たに発行するという☆☆☆☆(星4)通称「星本」と呼ばれる本を題材に、模擬セッションを交えた講演でした。
この教科書の編集に関わられたという根津先生の講義は、「音楽教育」の指導者と「音楽療法」実践者という両面からの示唆に富んだ興味深い内容で進められました。
より良い状態への変容を促すための音楽療法と、系統性を持って「発達」を捉えた音楽教育、この2つは違うものであると同時に、互いに補完し合うこと。音楽教育の目的、教科書の目標を意識したセッションの組み立て方法、着眼点を教えていただきました。
星本で言えば、重度で☆(星1)を使うことに工夫がいる子、小学校高学年でも音楽が好きで能力的には中学生用の☆☆☆☆(星4)を使える子と、その子の発達によって使い分けが出来るということ。
午後は研究会メンバーで事例発表を行い、先生にはそのコメンテーターをお願いしました。
そこでは、音楽療法にしか出来ないことやセッションを経た変化、音楽療法場面以外でも使えること、日ごろの実践がどのような意味・意義を持つのかをご指導くださいました。
それらを共有することと仲間も自分のセッション場面に置き換えて一緒に整理し、その枠を崩していくことの繰り返しが大切だと学びました。
1日かけて音楽教育と音楽療法の間を行き来して、得られたことを活かしながら、経験知と実践知の向上につなげていきたいと思います。伊賀音楽療法研究会メールマガジン編集室
〒518-0869
三重県伊賀市上野中町2976-1上野ふれあいプラザ3階
伊賀市社会福祉協議会
電話番号 0595-21-5866 FAX番号 0595-26-0002伊賀音楽療法研究会メールマガジンのバックナンバーはこちら
http://archive.mag2.com/0000071430/index.html
伊賀音楽療法研究会
http://www.hanzou.or.jp/music/top-page.htm
関連サイト:
Japanese Music Therapy Students and Professionals
http://www.geocities.jp/jmtsp2004/
JMTSP についてと入会方法|Japanese Music Therapy Students & Professinals (JMTSP)
http://ameblo.jp/jmtsp/entry-10022542018.html
Japanese Music Therapy Students & Professinals (JMTSP)
http://ameblo.jp/jmtsp
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