「世界の音楽療法の情報」 (2015年 4月10日)

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「世界の音楽療法の情報」 (2015年 4月10日)
“Information of music therapy in the World” (April 10, 2015)

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伊賀音楽療法研究会メールマガジン4月号(No.165)

[世界音楽療法情報]
JMTSPアメリカ音楽療法だより(107)

アメリカ合衆国カンザスシティー近辺で働く中村紀子です。音楽療法士としての仕事も12年目になり、今まで色々な事を経験し、学んできましたが、最近は特にセルフケアの大切さを実感しています。セルフケアとは、文字通り自分の心身のケア、管理を行う事です。自分も含め、ほとんどの音楽療法士は、好きな仕事を行い、ストレスがたまらないように見えますが、皆、セルフケアが必要です。

一時、私はフルタイムのホスピス音楽療法士として働き、それと同時に自分で個人契約の音楽療法も行っていました。これを、日本人に言ったら「あら、頑張ってるわね。」とポジティブに受けとられそうですが、これを聞いたアメリカ人の同僚は「あなた自分の事は大丈夫なの?ちゃんと休みをとって、自分の時間を過ごしている?」と返し、私は、『はっ』としました。いくら好きな仕事をしていると言っても、やはり心身をリフレッシュする機会が必要です。昔は、音楽以外の趣味はありませんでしたが、今はお菓子作りや散歩など、音楽と全く関係のないものでリフレッシュする時間をもうけています。やはり、オンとオフの切り替えは大切ですね。

アメリカの音楽療法士の中でも、『一生懸命働く』という事よりも『賢く働く』というコンセプトが、最近重視されるようになっています。勿論、これは手抜きをするという事ではありません。セッションや記録には、100%注ぎます。しかし、フリーランスの音楽療法士であると、それ以外の責務がある事も事実です(収入や支出の記録、セッションで使うカードを作ったり、その他の物を準備する事など)。これらの雑用のせいで、せっかくの休みを台無しにしないよう、いわゆる『誰かが出来る仕事』は、第三者に頼む音楽療法士も少なくありません。セラピストしかできない仕事は自分でしっかり行い、それ以外は誰かに任せて、時間を上手く使うという事です。

リフレッシュの必要性やタイムマネージメントに加え、長く音楽療法士として働いていくには、自分の体とよく相談しながら、仕事を行っていく事が重要です。私は以前、ある響きのよい大きなギターが大好きで、それを毎日、色々な施設やクライエントの方の家で使っていました。ギターが持ち運びに重いだけでなく、大きな厚みのあるギターを毎日弾いていた事が原因で、右肩が痛くなる事がありました(右肩を前に出して弾かなければならないから)。『このような状態で、音楽療法士として仕事が続けられるのか?』と思った事もあります。色々なギターを試した結果、やっと自分に合った小さくて響きのよいギターを見つけ、毎日それを使用しています。そして今は、右肩に痛みを感じる事はありません。

また睡眠不足、水分不足が、歌声に大きな影響を与える事を自分の経験を通して実感したのも事実です。これでは、セッションを受けるクライエントの方にも影響が及び、質の高いセッションが出来ません。また、音楽療法士の中には、楽器を弾く事が原因で、手や手首に痛みを感じる方もいらっしゃると思います。長く音楽療法士として働いていけるよう、体が示すシグナルに注意してみて下さい。専門家の助けが必要であれば、迷わず相談してみる事をおすすめします。ついつい「仕事が忙しいから…..」といって、自分の事は二の次になってしまいがちですが、まず自分のケアをしっかり行い、そして初めてクライエントの方に質の高いセッションを提供できるのだと思います。 中村紀子 ksmomusictherapy@gmail.com

[編集後記]
新年度が始まりました。 新生活となり慌ただしくされているも多くおられることと存じます。体調に留意し、少しでも早く新しい環境になじまれるよう、元気でお過ごしください。 さて、日本音楽療法学会、今年の学術大会は札幌で開催されます。この編集後記を書いている3月末の時点で、もう航空券付パックツアーは残り少ないようです。大会デスクが開設されるまであと数日ですが、そちらもすぐに空席はなくなることが予想されますね。希望通りの航空券とホテルを予約されたい方は、お早めのアクションをお勧めします。夏を通り越して秋、札幌でお会いしましょう!

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