Life Experience Through Music (音楽を通して人生を考える)
伊賀音楽療法研究会からのメールマガジンです。(2014.6.12)
JMTSP アメリカ音楽療法だより (97)
伊賀音楽療法研究会メールマガジン
6月号(No.155)[世界音楽療法情報]
JMTSPアメリカ音楽療法だより(97)
皆さん、こんにちは。6月号を担当させていたくエンジェル・恵津子(旧姓、羽生)です。早いもので、アメリカのカリフォルニア州立司法精神病院で働きはじめてから6年が過ぎました。司法精神、つまり、犯罪を犯した精神病の片の収容されている施設です。以前記事を書かせていただいた時は、この施設で働きはじめたばかりで、イギリスでの音楽療法の経験なども併せて書かせていただいたように記憶しています。
今回は、現在の職場で行っている”Life Experience Through Music”(音楽を通して人生を考える)グループについて書かせていただきます。このグループでは。毎回一曲、私が選んだ曲を歌詞を見ながら聞いて、その内容からディスカッションをして行きます。心理療法的な要素と、ライフコーチーングの要素を取り入れているので、セッションはある程度の形式を先にこちらで作ってしまって、患者にはその趣旨に即してディスカッションをしてもらうという流れをとっています。
例えば、その日のグループがビートルズの”Let it be”だとします。この曲は、ポールマッカートニーが自分が色々と悩んでいた時に、亡くなった母親が夢に出てきて、母親が言った言葉”Let it be”にインスピレーションをもらって曲を書いたのだそうです。この曲の時は、歌詞の内容を深く掘り下げるというよりも、歌詞カードを見ながら曲を聴いた後で、曲が出来た経緯を説明して、患者に今までで。何か心に響いた言葉や教訓は無いですか、と言った問いかけでディスカッションを進めていきました。このグループでは、毎回宿題も出すようにしているので、グループの中で発表した事や、その後調べた事をまとめてもらいます。”Let it be”の時は、図書館で偉人の言葉を調べたりして来て発表してくれたクライアントも何人かいました。また、書いたり読んだりする事が苦手でも、他の仲間の意見を聞いたり、ただその曲が好きだという事で、何かを感じるきっかけになれば良い。そんな思いでグループを進めています。
下記に、具体的なセッションの様子を抜き出してみました。
この日は、”Living Years” by Mike and The Mechanics(マイク・アンド・ザ・メカニックス)を使いました。
”Every generation
Blames the one before
And all of their frustrations
Come beating on your door]
どの年代に生きていても、
若者は、その前の世代を避難する。
そして、若者はいつでも不満で爆発しそうだ
という、出だしで始まる曲です。曲の内容は、父親が亡くなる前にお互いの意見の違いを分かり合えなかった苦しみ。でも、けっして自分の思いを伝える事を諦めないで。諦めなければきっと道は開けるから。と歌っている内容です。すばらしい曲ですので、もしご存じなければ、ぜひ、聴いてみてください。下記に日本語の歌詞が出ているビデオのリンクをのせておきます。
http://www.youtube.com/watch?v=vAklPUhlxPI&feature=kp
さて。わたしは、『この曲は私たちにアドバイスを与えてくれている曲だけれども、どんなアドバイスだと思いますか?』『歌詞を見て聞きながら考えてみましょう。』と言うように、進めていきました。
ディスカッションでは、この曲のアドバイスは何かという事や、自分たちの思いを自由に言う形式をとりました。下記のような意見が出されました。
『俺の、父親はアル中でさ、家は代々そうだった。ほら、最初の』どの時代に生きていても』ってあるでしょ。あれで、父親や祖父の事、自分の事を考えたね。でも、自分の世代からはアル中を繰り返したくない。それを断ち切りたい。そう思うね。ここから出たらちゃんと生きていきたいんだ。』
『10代に戻れるなら、戻りたい。あの時、自分の思いを親に言えなくて薬と酒に溺れてたんだよなぁ。もう少し勇気を出せたら、人生違ったかもな。」
『諦めないって、だいじなんだ。諦めないぞ!』
『音楽って、なんてパワフルなんだ。』
『良い歌だなぁ。こんな歌があるなんて知らなかった。』と涙を見せる患者さんもいました。それぞれの思いを出来るだけ吐き出してもらってから、私は、締めくくりに。
『色々と感じた事をシェアしてくれてありがとう。この曲のアドバイスのように、辛いって思う事もたくさんあるけど、諦めなければきっと道が開ける。そう信じて治療に励んでもらえたらうれしいです。今日のまとめに、もう一度聴いてみましょう。』
そして、宿題とともに、その日のセッションを終えました。
このセッションの難しさは、彼らのニーズにあった曲を見つけてくる事、それをどのように提供するかが一番の課題す。ある程度の形式を先に作ってセッションに臨んでも、どんなディスカッションになるかは予想が出来ないので、楽しくも、緊張感のある一回一回のセッションです。こうして一つ一つの曲を吟味してみると、音楽って本当にすばらしいとつくづく思わされます。
つたない記事ですが、最後までお読みくださいましてありがとうございました。 エンジェル・恵津子[編集後記]
「青葉茂れる桜井の・・」の歌がよく聞かれた季節、最近は高齢者の方の年齢層も変わり、この歌もあまり使われなくなったのではないでしょうか。
伊賀音楽療法研究会でも、おおむね60歳から参加できる「うたごえサークルかがやき」が昨年よりスタートしました。ヤング層の歌おう会として好評を得ています。対象者のみなさんがだんだん若くなっていき、療法士も勉強が必要です。 (よ)[伊賀音楽療法研究会メールマガジン]
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