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伝書鳩文芸 の検索結果: 12 件
令和3年 俳句・常呂蛙声会作品一覧
令和3年 俳句・常呂蛙声会作品一覧
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伝書鳩文芸 俳句
俳句・常呂蛙声会 八月作品
大早スプリンクラーも追ひつかず 石渡穂子
フェーン来る前に張り替ふ雨戸かな
夏空に描く五輪のインパルス 磯江波響
コロナ禍の三密避けてキャンプ村
魚拓の尾ぴくりと動く昼寝覚 岩崎靖子
この山のどこから崩そかき氷
日本の活躍凄し夏季五輪 久世篤史
時期迫り剪定続く炎天下
里山の霧に阻まれ姿消し 笹順子
緑雨降る里山稜線鮮やかに
病葉の語り尽くせし友一人 武田修
夏雲や寝返るたびに空を掃く
縄文遺跡群は世界遺産へ虹の立つ 武田賢一郎
汗と技メダルラッシュの五輪かな
夏負けの喉にやさしき菜スープ 千葉栄子
新じゃがのつるりと剥けて赤子肌
忘れたき事は忘れず百合白し 松平知子
手の平を明るくしたる百合の花
新しき盆提灯のさびしがり 宮崎悦子
喜雨ありしご浄土からの便りめく
伝書鳩文芸 俳句
俳句・常呂蛙声会 七月作品
夏うぐひすなべて媼は口達者 石渡穂子
村中がマイナスイオン牧草刈
三元号跨ぎて夏至の誕生日 磯江波響
繭のごと海霧に包まれオホーツク
送電線のつなぐ山々通郭公 岩崎靖子
河骨や湖をへだててチセ四五戸
緑陰の若きシスター椅子一つ 小笠原マチ子
四葩咲くおはを偲びて寺の庭
孫夫婦記念の桜植えし初夏 久世篤史
青空につるを伸ばしてクレマチス
畑耕し一鍬ごとに土均す 笹順子
木蓮に蔓絡みつき遊びをり
緑陰に網繕ふや漁師育く 武田修
万緑に響き伝わる漁船音
大夕焼先達の句碑湖の辺に 武田賢一郎
父の日や父の遺影も七十路に
夕焼よ明日も佳き日になりそうな 千葉栄子
マヨネーズのぷっと尽きたる今朝の夏
花芯に蟻が集まるしゃくやく花 松平知子
アカシアの香り満ちくる路地明し
夕焼に包まれたくて丘に立つ 宮崎悦子
盆の月片道切符で友逝けり
伝書鳩文芸 俳句
俳句・常呂蛙声会 六月作品
大木の夢摘み独活の酢みそ和 石渡穂子
ワクチン日決まりて安堵姥さくら
お結びをひらけば岬揚雲雀 磯江波響
三密をさけてにぎはふ潮干狩
藤棚を抜けむらさきの風の中なか 岩崎靖子
つつじ燃ゆ売家となりし友の家 小笠原マチ子
少しだけおしゃれしたみる夏帽子
独り言に相づち上手鉄風鈴
初夏迎えサロマ湖展望初登頂 久世篤史
春耕を気にしながらのゴルフかな
青空に芽吹きの梢の伸び出せり 笹順子
ビート植う機械植えにて終りけり
歳重ね心繋がる君影草 武田修
今日明日も外出自粛海霧深し
その内といふ慣はしや花は葉に 武田賢一郎
断捨離も天秤にかけ衣更
北の地へ咲きたどり着き桜散る 千葉栄子
お昼寝も大事な日課八十路越ゆ
ごくうすくつつじの花の丈くらべ 松平知子
新緑の中を黄色のバス曲がる
ちょっといい話小耳に新茶汲む 室崎悦子
認知度の検査満点梅酒買ふ
伝書鳩文芸 俳句
俳句・常呂蛙声会 五月作品
遅日光湖のむかふの漁夫の家 石渡穂子
先人の造りし園や蝦夷つつじ
白樺の樹液ごくごく木の芽風 磯江波響
青き踏むパークゴルフの試し打ち
雨音の程よきリズム大朝寝 岩崎靖子
春の風邪青菜に塩のごとく居り
一斉に泳ぐほかなし鯉のぼり 小笠原マチ子
土産の山並みが好き桜桜く
石庭に咲きしタンポポそのままに 久世篤史
豊漁と安全祈願春の風
サロマ湖の湖面なぜ行く初夏の風 笹順子
里山の稜線くっきり初夏の風
芝桜妻の紅より色薄し 武田修
保育児らの散歩の浜や春日和
囀りにクラブ握る手を休めて 武田賢一郎
クレーン伸び鋼材ゆらり風光る
芝萌えてパークゴルフの友揃う 千葉栄子
脳トレの脳の不具合山笑ふ
カルガモのもぐり上手に木の芽風 松平知子
花こぶしリボンあふるる満開に
茶柱のWに立ちて春うらら 宮崎悦子
春耕の果てを大きくバス曲る
伝書鳩文芸 俳句
俳句・常呂蛙声会 四月作品
雪解風運び来ケラのドラミング 石渡穂子
陽を浴びて赤い流氷サンクルーズ 磯江波響
流氷去りたる海のあっけらかん 岩崎靖子
土産の寺の法話や風光る 小笠原マチ子
橋の弧の眉のごとしや遠霞 笠井操
春を待つ花と庭木と小鳥たち 久世篤史
里山の霞に頂き遠くなり 笹順子
春昼の猫の一匹闊歩する 佐藤美代
碧空を見方に寄せし鳥帰る 武田修
永き日や旧型カメラ取り出して 武田賢一郎
亡夫の分生きて今日ある春彼岸 千葉栄子
太陽の恵み幸せ福寿草 松平知子
四月馬鹿運勢欄は大吉に 室崎悦子
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令和3年 新墾北見支社歌会詠草一覧
令和3年 新墾北見支社歌会詠草一覧
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伝書鳩文芸 短歌
新懇 八月歌会詠草
若き日の夫は健脚アルピニストもうかなはざる旅はテレビで 土居ヒデ
エアコンは強めの稼働が好みとふ吾は厚着で冷えをこらへる 佐藤光司
古今より雲詠む人は多かれど暁に映る幾何模様美し 鈴木千左
十二歳竹槍くんれん受けたりよ戦中秘話をテレビは流す 中村ミチ子
枯芝となりしコースに球を打つオリンピックもコロナもある夏 野川幸子
いただきし胡瓜重なりお隣へわれは生ききし昭和の時代 鮎田慰子
川の辺に蕗の葉あまたかげ落とし水面をわたる風の涼しも 近藤三枝
茂吉との縁ある訓子府町の医院緑樹の中に山法師咲く 瀬谷隆夫
一台づつ昭和レトロの扇風機ひきまはしゐる鰻がいいね 福重㒼江
雪の下じゃがいもの花咲きわたる光のなかをゆっくりゆくよ 大澤裕行
二回目のワクチン接種妻と往く三七度四分の猛暑に 昆野範雄
伝書鳩文芸 短歌
新懇 七月歌会詠草
柴ざくらの小径に「七歩の才」の欲し歌はわたしの生き甲斐なりき 土居ヒデ
主に似て立ち上がり遅きパソコンにあせらず動けと青空にあふぐ 佐藤光司
綿毛とぶ風と太陽にめぐまれて道路いつぱいふはふはととぶ 中村ミチ子
土佐の人坂本直寛が募集して応募の民らわが地を拓く 瀬谷隆夫
ひなげしの妖しい紅を盗りたれば我を拒みてはらはらと落つ 鮎田慰子
鼻面に顔こすりたり湿りいてわが顔拭いぬ猫もぬぐいぬ 大澤裕行
葦しげる隠れり沼にうごく魚のかげスイレンの花咲きそめゐたり 近藤三枝
オペ台に三度のりたる三女出歩く次女に愛の叱咤す 鈴木千左
わだかまりいくつもありてこの朝うましとのみこむタモギ茸汁 福重㒼江
石堀の影も引き連れ学童のひと群れ過ぎて夏日のひかり 野川幸子
コロナ禍のじいばあ外す運動会オリンピックは実施されるか 昆野範雄
伝書鳩文芸 短歌
新懇 六月短歌会詠草
野も山も蕾ふくらむ花便り春だ春だと微笑みかへす 土居ヒデ
あしあとを幾千方と刻みたる百寿の重き生涯偲ぶ 佐藤光司
五月なり寒き日つづくリラ冷へとふやさしき言葉われをなぐさむ 中村ミチ子
短歌を詠む九十二歳の長野さん紙面に名あり健在嬉し 瀬谷隆夫
連翹の押し木三十本に花の咲くあと三年を生きてゐたかり 鈴木千佐
病み落ちて雪にころがり食われたる鳥のいのち夢のごときか 大澤裕行
この街に住みゐし画の友かく言へり何処を見ても絵になる北見と 近藤三枝
蝦夷梅雨といふのでせうかけふも雨セ・パ交流戦こしすゑてみる 福重㒼江
水仙の細首のぼる水の音己れ愛せとささやきながら 鮎田慰子
ひとりとなる吾をあやしまず孫娘らは星座など指し帰りてゆけり 野川幸子
わが村の開墾なせし宮崎氏創刊新懇の選者ならしむ 昆野範雄
伝書鳩文芸 短歌
新懇 五月歌会詠草
「ごめんね」と弱き体を受けたる吾が責任と詫びゆく残生 土居ヒデ
オレンジに輝く村よ西興部に木工広めし人ありて今に 中村ミチ子
わが裡の鬼と仏が交互に来泣きゐるわれを試してをりぬ 鈴木千左
窓越しの山笑ふ景待ちわびぬ亡き友との逍遥日々偲びをり 佐藤光司
激(たぎ)ちいる珈琲牛乳色の沢川はつねは細ほそシュブシュブナイ川 大澤裕行
駅からの六キロの道母と共に語り歩けば遠くはなかりき 近藤三枝
愛したる娘や孫に会へずして故里返せ花いちもんめ 鮎田慰子
しどけなくよよとなきつきひきとむる過ぎゆく時を春の夜の夢 福重満江
たわむれるえぞ雪うさぎ六匹の恋の季節よしばし見惚れる 昆野範雄
北見市三輪病室の窓から眺むれば兵村時代のくらし偲ばる 瀬谷隆夫
わが地にも桜咲きそむ四月尽雨風すさび夕べ雪となる 野川幸子
伝書鳩文芸 短歌
新墾 二月歌会詠草
長きにわたり闘病の末逝きし娘よ老い母残し悲しき旅に 土居ヒデ
白砂を敷きたるやうな粉雪を朝飯前にさっとひと掃き 佐藤光司
緊張と弛緩のまあひ1ミリのミシン目ほどきそっと息はく 鮎田慰子
玉葱の畑より湧き出た温泉は数多くの人を癒やし続ける 瀬谷隆夫
棘とげのみちを均して晴れやかに歩いてみたしわが短歌みち 鈴木知佐
晴天となりたる朝輝ける雪を放りて心足らへり 野川幸子
福は内鬼は外とて豆まきしただそれだけで待ち遠しかりし 中村ミチ子
ツイートの百四十字に背景と理屈を入れて私の「歌」 大澤裕行
朝明けのオホーツク海の寒々し波間に透ける氷塊の群れ 近藤三重
羊をくらひ酷寒猛暑をかつとはす北見が終の住処とならむ 福重㒼江
出棺の橇に薪載せ馬追ひて祖母の火葬を僕十歳のとき 昆野範雄
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令和3年 俳句クラブ夢氷林作品一覧
令和3年 俳句クラブ夢氷林作品一覧
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伝書鳩文芸 俳句
俳句クラブ夢氷林 九月作品
涼や散歩に匂ふ貼り薬 森川幸雲
玉音を思い出したる残暑かな
コロナ疫払ふお盆の踊りなく 黒川一彦
ドラム缶の風呂で仰ひだ天の川
爽やかや朝の野球の打撃音 原正
密談のやうに毛蟹を食べており
瀬音聞く山は秋色風さやか 山下楽南
雷鳴は先祖の怒り我にあり
吹く風の枝のそよぎや今朝の秋 山上雪汝
灯明のゆらぎかすかや花木槿
秋ぐもりコロナの芥溜まる街 抜山紘彩
コスモスや雨に濡るるも揺らめきぬ
秋刀魚の嘴黄色ならずよ薄煙 小林大雪
稲妻の飛び込んで来る二人の間
夏と秋たゆたふ雲と空の青 中尾和子
ツンデレの猫に膝貸す夜半の秋
伝書鳩文芸 俳句
俳句クラブ夢氷林 八月作品
窓越しの光のかけら遠花火 中尾和子
また一つ別れのありて星流る
蚊遣火や燻る昭和の夜の酒 森川幸雲
新婚の団扇の風を送りあふ
亜麻の花真っ青な空映しけり 黒川一彦
取り立ての胡瓜一本丸かじり
音量を下げて夏の夜はふける 原正
稜線を越えて雲海滑り落つ
友来る薬味なくして冷奴 山下楽南
戦争の二文字消したし敗戦日
野鶲の雛に居間居を覗かるる 山上雪汝
大暑の日テニスラケット風をきる
終活の想いに揺らぐ秋どなり 抜山紘彩
朝顔を咲かせて子等のおもてなし
万緑や一山不動の峰高し 小林大雪
キュキュと裂帛のごときびを剥ぐ
伝書鳩文芸 俳句
俳句クラブ夢氷林 六月作品
夏の月赤銅色のイリュージョン 抜山紘彩
鉄線花朽ちしレフェンスに絡み咲き
久方の太陽仰ぐ清水無月 小林大雪
あまた草あれど良き名のいぬふぐり
白牡丹ときめき残し崩れゆく 中尾和子
木々青葉光集めてきらきらと
雨蛙天気予報を怠らず 森川幸雲
切株に樹液の光る夏の朝
ワクチンの接種医者や夏みじか 黒川一彦
草むしりただただ忙し手のはしり
新しき茶碗そろへて新茶汲む 原正
せせらぎに白波立ちて夏に入る
見おさめの皆既月食夏の夜 山下楽南
ハンカチもマスクに変わり疫の夏
あいあいと苗買ふ声や五月来ぬ 山上雪汝
夏始のあやしき色や皆既月食
伝書鳩文芸 俳句
俳句クラブ夢氷林 四月作品
振り袖の向ふ学び舎春の朝 山下楽南
疫の世の月も隠るる春の夜
雪解風文具重かろ子等帰る 山上雪汝
地味な服纏ふも名有り春の鳥
春日差レトロな喫茶の窓に入る 抜山紘彩
心寂し色なき庭に木の芽風
北のさくら今に見ていろ僕だって 小林大雪
三つ葉食べてよく寝て人生最終章
風光るよちよち歩く子の一歩 中尾和子
きらきらと銀色まぶし猫柳
花種や栄華の夢の詰まりをり 森川幸雲
帰北路のジェットの窓に遠き凧
白競う梢の雪の猫柳 黒川一彦
ゆつたりと雑木の山へ春の雲
岨径の雪解の水のささやけり 原正
ランドセル揺らせて駆ける春の雪
伝書鳩文芸 俳句
俳句クラブ夢氷林 三月作品
地平線のよぎるマストや春の海 原正
水温む川面静かに動きけり
春の雪老いの守りにいざ来れ 山下楽南
大氷柱鬼滅の刃となりえるや
陸奥のおもひは遥か西行忌 山下雪汝
雛飾る句友の文の温もりに
残雪深き蝦夷地の分水嶺 辻愛信
春寒し拉麺店の長き列
雪しまく透かせしランプ追尾して 抜山絃彩
三月やうた蘇り「花は咲く」
その響きこだまと化せり春の滝 小林大雪
少年のまなこ生き生き春の独楽
ステイホーム猫と一緒に春炬燵 中尾和子
ジョギングのリズムに合わせ春の風
沖縄の旅の手紙に梅の咲く 森川幸雲
兄弟の去りし田舎や梅の花
春日差うなじに染みる窓辺かな 黒川一彦
寒明けや明日をわたる飛行機雲
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令和3年 北見さつき句会詠草一覧
令和3年 北見さつき句会詠草一覧
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伝書鳩文芸 俳句
北見さつき句会 八月詠草
命あつことの喜び蛍とぶ 坂上美果
呼び交はす蛙にぎやか雨もよひ
灯だす古りし玻璃戸の夏座敷 坂上菜穂子
かどひとつ違へて迷ふ梅雨の路地
黙祷の多き八月忍び草 坂本紀美子
久しぶり雨の匂ひの夏夕べ
積み古りし煉瓦の壁に茂る蔦 斎藤正仁
石涼し薄荷長者の路地の蔵
草刈の音止み午後の三時かな 吉田純子
飲むごとに麦茶氷の音変へて
バス停となりし駅舎や墓まいり 畠中たか志
歩数計今日も満たして汗拭ふ
水うまし氷うかべるだけの水 畠山邦恵
幼児を抱くかに西瓜腕の中
堂ひとつ残し主なき牡丹園 畠山やすお
泥の手に青物野菜喜雨上がる
霧冷の心に募り来る一事 畠中じゅん
雲海か霧か夕づき来し脚下
伝書鳩文芸 俳句
北見さつき会句会 六月詠草
つり船の波のなすまま五月晴れ 坂上美果
おだまきや又もや過去へ逆もどり
灯籠も吾もしだれし花の中 坂上菜穂子
山風は山に戻りぬ花の午後
取りたての翡翠の甘露松葉独活 坂本紀美子
鈴蘭の音色かそけき庭手入れ
定かなる雲の陰陽夏の空 斎藤正仁
冷酒や昔のジャズに洒落心
寄せ植ゑの端に顔出す土筆かな 吉田純子
携帯を胸にうたたね薄暑かな
雑草に混じりルピナス廃止駅 畠中たか志
いつからか植え外来種咲き初めし
往来も途絶えて久しはたた神 畠山邦恵
葛切やシロップ淡くガラス碗
新緑の木もれ日やさし山路ゆく 畠山やすお
藤房の縺れることもなく吹かる
吊橋の揺れと夕滝かもす音 畠中じゅん
露天湯を出て万緑の底歩む
伝書鳩文芸 俳句
北見さつき会句会 五月詠草
街の灯の友禅模様春の雨 坂上美果
散りぎはの光の中の残花かな
絡み合ふ小枝目白のゐる気配 坂上菜穂子
囀りをかき消して波くだけ散る
春鋸の枝断つ木々に浄め塩 坂本紀美子
濃淡に桜けぶれる遠野かな
咲き初めて葉のなき風情北こぶし 斎藤正仁
鶯や朝のすがしき湖畔道
春眠も吸ひ上ぐ空の青さかな 吉田純子
生返事本を開きて春の宵
山頂の三角点は若葉雨 畠中たか志
連休は読書ざんまい風薫る
はにかみの制服姿入学す 畠山邦恵
ぬかるみに歩をえらびつつ水芭蕉
初蝶や昨日につづく土いぢり 畠山やすお
黙礼す花の奥なる忠魂碑
諸葛菜風に薄むらさき揺らし 畠中じゅん
早苗田に富士映る待つ去り難し
伝書鳩文芸 俳句
北見さつき句会 四月詠草
断崖の孤高の古木花もなく 坂上美果
止れば遠き日の夢糸桜
触るるものみな震はせて風光る 坂上菜穂子
水底に蠢く春の光かな
橋脚に春の水音ほとばしる 坂本紀美子
駐輪場ドミノ遊びの春疾風
玻璃多き新築ビルや風光る 斎藤正仁
日のぬくみ運ぶそよ風雪間草
春告ぐる土の匂いや足もとに 吉田純子
雪間でき大樹の命動きけり
見晴端開通式や樹氷咲く 畠中たか志
寒雀くる土手削られて宅地なる
北国といふトンネルや春の風 畠山邦恵
煮こぼして文旦の香の愛でてより
春落葉吹き寄せられし小さき嵩 畠山やすお
わたつみの鎮まり給へ鳥帰る
青春の心果なし桃の花 畠中じゅん
眩しさの小暗さと化し花下の昼
伝書鳩文芸 俳句
北見さつき句会 3月詠草
会ふことの叶はぬ友へ金目鯛 坂上美果
枝ゆれて誰かゐるらし花大樹
風音を聞くのみ寒の道をゆく 坂上菜穂子
熱燗のそろそろ手酌なりし頃
口中の葉の香ふわりと桜餅 坂本紀美子
雪消水脈打つ音や雨水升
埃など溜めしもの見せ雪間かな 斎藤正仁
雪解水上下四方に立てし音
救急車雪降る音に急ぐ灯り 吉田純子
逃げて鳴き鳴いては集ふ寒雀
机上にも差し込む日差し春めきぬ 畠中たか志
マンホール廻りだけ解け雪の朝
小さき荷の届くバレンタインの日 畠中邦恵
障りあるひとつふたつに寒あける
いさげ屋の気つ風なつかし鰊買う 畠山やすお
春めくや降りみ降らずみ軒の雨
退院し自由な時間春の風 畠中じゆん
愁ひふと花の一弁散りし時
伝書鳩文芸 俳句
北見さつき句会 二月詠草
淡々と生くる話や年賀状 坂上美果
目覚ましを頼る早起き七種打つ
湯けむりに湯桶ひびかせ冬の朝 坂上菜穂子
数へ日の今日の一膳地酒酌む
部屋隅のひそみ余寒の今だなほ 坂本紀美子
誘い出す四温の術や脚はづむ
願ひ事火と化し宙へ節分会 斎藤正仁
転ぶたび笑い出す児やそり遊び
踏切の鐘の音ひびく雪晴に 吉田純子
悴める心も猫に癒されて
休刊日刻持て余す雪の朝 畠中たか志
孫のいることの幸せ豆を撒く
お年始や白寿の人に来し方も 畠山邦恵
新雪に不覚の足をすくはるる
軒の端に迫る星空夜半の冬 畠山やすお
じんじんと降り来る凍れ月白む
伸ばす手にかがめる足に春の風 畠中じゆん
試歩たのし風光りつつまろみつつ
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令和3年 北見いちい俳句会詠草一覧
令和3年 北見いちい俳句会詠草一覧
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伝書鳩文芸 俳句
いちい俳句会 七月詠草
旅鞄一つに纒めサングラス 土屋加代子
夕立去り洗ひざらしの広き空
観音の肩に寛ぐ揚羽蝶 太田雅美
この先は終着駅や夏の月
妥協する生き方選ぶ冷奴 浅野数方
盛夏なる丘に少年画布立てて
日草蕾二年も会えぬ姉の居て 金田野歩女
古簾地酒のねむる土間の艶
蜜豆や幸せさうな愚痴並べ 花木研二
草刈女鎌の切れ味爪で見る
伝書鳩文芸 俳句
いちい俳句会 五月詠草
一行詩ほどの日だまり水芭蕉 浅野数方
大沼のさざ波初音の枝渡り
つばめつばめ層雲峡の崖の端 太田雅美
郭公の鳴く声四方に尼僧庵
日の匂い裏返しつつ耕せり 土屋加代子
郭公のはるか鎮守の森あたり
連翹を見て庭掃きの締め括り 金田野歩女
七彩に変はるホテルの作り滝
風光る駿馬にブラシ掛けをれば 花木研二
パンジーは三時の位置に花時計
伝書鳩文芸 俳句
北見いちい俳句会 四月詠草
春の雪払って見舞客となる 金田野歩女
逃げ水やかたかた駆くるランドセル
たたなはる沼の水面や春夕焼 淺野数万
虹色の刺子布巾や夢見月
春の雲動かぬ雲と動く雲 土屋加代子
売られ行く牛の背撫づる春の雨
鶴帰る労り合うて夫婦かな 太田雅実
蕗の薹面白がって生きてをり
入学の家族写真に犬も居て 花木研二
逃水を追うて海まで来て了ふ
伝書鳩文芸 俳句
北見いちい俳句会三月詠草
薄氷流るる水を光らせて 太田雅美
心とは反対回り風車
朧夜の父の小声の童歌 土屋加代子
穴釣りの空は快晴オホーツク
箸立ての一膳の箸春の雪 淺野数方
剣道の面の一本木の芽晴
淡雪の一片を追ふ童かな 金田野歩女
強東風の鴎を煽る五羽七羽
黙祷の一分間も雪止まず 花木研二
信号の長き三叉路日脚伸ぶ
伝書鳩文芸 俳句
いちい俳句会二月詠草
凍鶴の東雲色のシルエット 金田野歩女
しのり鴨浮いて潜って細波(さざれなみ)
凍滝に絶ゆることなき水の 淺野数方
鰊東風犬吠えてゐる漁師小屋
鳶の輪のぐいと近づく深雪晴 土屋加代子
露天湯に垣ともなりし雪の嵩
山仕事顎に食い込む頬被 太田雅美
春待つやポットに開く紅茶の葉
駐在は単身赴任布団干す 花木研二
厳冬の風に刃の痛みあり
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令和3年 一会俳句会作品一覧
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伝書鳩文芸 俳句
一会俳句会 五月作品
花万朶植えし記念樹友も咲く 内藤栄子
粽解く笹の結び目濡れてをり
夜すがらの看護受けしよ暮れの春 小中美和子
エゾムラサキのエールを受けし院の庭
幼蝶のたどたどしきを見失ふ 近江禮子
菜の花の小鉢に映へる辛し和
木蓮のくちばし紅くくうを飛ぶ 林さくら子
あちこちと散ばり遊ぶクロッカス
夏きざす池の波紋の輝けり 水澤千賀子
いか刺しの晩酌熱し父の眉
若葉風少女の青きランドセル 黒川一彦
初めから真っ白なのよ花こぶし
風光る初出勤の娘の笑顔 西森禮江
母似の手にクリーム多め春の夜
遅日の雪血圧ピンと跳上がる 小林大雪
残雪の羅臼岳襞濃く暮るる空
伝書鳩文芸 俳句
一会俳句会 四月作品
春毛蟹雄武浜の話咲く 内藤栄子
長老の苞は禅彩春の寺
旅立ちのうなじ清しき春の駅 小中美和子
ふつふつと遥かに遠し鳥帰る
木の根開く玉虫色の鳩の首 近衛禮子
せっかくの嘘もつかずに四月馬鹿
青空を深呼吸して吾が春と 小野寺文子
蝶になる夢に目覚めて夫を恋ふ
福寿草なにか良い事ありそうな 林さくら子
閃きは春の空から降りてくる
囀や開祖の肩にこぼれけり 水澤千賀子
春の夕空き缶キラリ散歩道
雪解けの水を流して戯れり 黒川一彦
わかめ汁の碗にただよふ青い海
新調のシルクスカーフ春の風 西森禮江
マンホールに落つる水音春の声
慎みはどうでもよかれ春毛蟹 小林大雪
春眠や無常のアラームおさえ込む
伝書鳩文芸 俳句
一会俳句会 三月作品
春大へ翔ぶ一千句わが指針 内藤栄子
雛人形夜半は賑はふ宴かな
冴返る喉元過すぎる常備薬 小中美和子
消毒器の並ぶ玄関桃の花
流氷帯気ままな風に操られ 近江禮子
公園の遊具静かに春を待つ
春暁を目元清しく目覚めけり 小野寺文子
ファスナーの左右ちぐはぐ二月尽
流氷に育てられしや潔し 林さくら子
いつまでも降り足りないか名残雪
春寒やバス停前のたこ焼き屋 水澤千賀子
セピア色の卒業写真友の顔
春一番屋根渡る風吠ゆるごと 黒川一彦
風吹きて流氷見えぬ暗き海
春浅しいまだ真白き恵庭岳 西村禮江
春立てりエプロンきりりと男めし
壁掛けの紙ひな今年も変わりなし 小林大雪
飾り終えふたりで作るゝな寿司
伝書鳩文芸 俳句
一会俳句会 一月作品
松の雪雫の光こぼしをり 内藤栄子
吾に吾エールをおくる屠蘇の盃
晃晃と月の跨ぎし去年今年 小中美和子
マンホールの絵柄ほっこり年新た
初夢やみんな集ゐて皆若し 近江禮子
除夜の鐘ききて煩悩いくつ消ゆ
眦の少しさみしい浮寝鳥 小野寺文子
鴨の声園をひろげて十一羽
冬の陽の厚い雲割り輝きぬ 林さくら子
ありの儘すべて脱ぎ拾つ冬木立
愛犬もトリミングしてお正月 水澤千賀子
七草の粥に希望の緑かな
木星の西に傾く冬至かな 黒川一彦
小ぶりなる冬至南瓜やふたりの夜
オレンジ色蒔くごと光冬の暁 西森禮江
カラカラと枯葉友とし歩けり
初光り雪輝かせ盆地明く 小林大雪
寒波来る一行あけて見舞いの弁
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令和3年 北見濱の会詠草一覧
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北見濱の会 二月詠草
説法の前に温める冬座敷 佐々木美峰
まがことの終はりを醸す初茜 染谷りやう
白蕪のあと一品の出番かな そめかずこ
燈台の光のすじに雪をどる 戸村理平
河豚ちりや炎の青き壇ノ浦 中山くにゑ
初日記大志ばかりが並びけり 原まさし
排雪のトラック軍団日向ぼこ 星静翠
編みかけの毛糸のからみ修羅のごと 阿部千恵
ボーナスのある娘よりおすそわけ 大塚初江
初詣合格祈願の絵馬歌うふ 大沼トシ子
裸木の無援のさまに星の添ふ 金山ちひろ
年越の集い自粛や深海魚 川越勢津子
荒雪を跳ねて渡れる狐かな 小林道子
ドアノブの吸引力や今朝の冷え 小林大雪
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令和3年 俳句塾きたみ作品一覧
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伝書鳩文芸 俳句
俳句塾きたみ 八月作品
客一人理髪師ひとりの夏マスク 加藤眞
物忘れ笑ひとばして心太
カビ匂う昭和生まれの母子手帳 森下佐智子
やりくりはなりゆきまかせ文月くる
夢の妣ぼん道笑顔に帰りくる 海崎笑子
病葉やひらりぽろりと落つる日に
部活の子汗と日焼けの黒光り 森田英子
軽々と風を通せし麻の服
中元にデンスケ西瓜の黒光り 高橋開陽台
大相撲道内力士活躍す
ひと雨もふた雨と茄子の花 東地恵女
満開の蓮に浮かぶは妣の顔
逆上がり出来ぬ忍耐半ズボン 小野寺照子
キャベツ売り話し上手な農かあさん
秋暑し三坪半の畑仕事 田川君代
好きな花問われて今日は茄子の花
喜雨ありて野菜畑に黄金降る 清野きよ子
炎天や体温越へた昼下がり
ゴッホ出よ焦色の麦海へ延ぶ 小林大雪
鳥の声吹き戻りくる野分けあと
伝書鳩文芸 俳句
俳句塾きたみ 七月作品
訪ね来る友も同病麦の秋 加藤眞
さやえんどうとりてポケットにふくらみぬ
朝すでに十指せわし草取り女 森下佐智子
消ゆるかも知れぬ没後の白牡丹
夏雲や沸き上がりて絵画のごと 海崎笑子
突然の夕立ちに合て相合傘
街中の静まりかえる暑き夜 森田英子
胡瓜つる棹にからめて抱き起す
山開き今年も行けぬ富士登山 高橋開陽台
寒さ耐え工事現場の三尺寝
初きうり生みその味懐かしむ 東地恵女
万緑の濃淡まぶし北大地
駄駄児の拗ねて転んで夏氷 小野寺照子
瘦身の水着の吾の古写真
はまなすの残り花見る海の照り 田川君代
炎天下短き影を連れ歩く
紫陽花や記念切手の文送る 清野きよ子
しゅるしゅると蜘蛛の糸伸び部屋覗く
にこやかに恋をはじめり鬼ヤンマ 小林大雪
手をやれば待ってましたと豆の話花
伝書鳩文芸 俳句
俳句塾きたみ 六月作品
眠たげな牛の声聴く三尺寝 加藤眞
あってなき老いの予定や茄子の花
葱坊主背筋正して孤独かな 森下佐智子
それなりに垢抜けて子の帰省かな
忙しき白足袋夏の厨かな 海崎笑子
磨かれて仔馬嘶き走りゆく
夏マスク帽子深めに会釈かな 森田英子
縁陰や一人一匹じゃれあいて
玉葱や札幌黄苗十本も買い 高橋開陽台
地鎮祭家族安全苺の丘
自粛かな只もくもくと草取女 東地惠女
芹の香や過ぎし古里なつかしぶ
月見草過去の賑わい町工場 小野寺照子
佳き事のありて際立つ今朝の薔薇
黒南風や古紙とし括る文庫本 田川君代
青梅雨の誰も来ぬ日の貸しボート
夏わらび草間にグーの顔を出し 清野きよ子
廃校の小石一つを白シャツへ
牛の眼に映りて夏はそこにあり 小林大雪
夏雲やしたる山河の北見の野
伝書鳩文芸 俳句
俳句塾きたみ 五月作品
誰彼に花の時あり一生かな 加藤眞
病歴を少しぼかして麦酒かな
あと戻り出来ぬ月日や夜半の春 森下佐智子
傘たたむ氷雨そのまま折り込みて
耕すや堆肥の匂いの鍬ひいて 海崎笑子
初蝶の鼻先かすめ遠のけり
春の陽を背負いて登る仁頃山 森田英子
山頂の風の香れり蓬餅
唐松の山一面や新樹晴 高橋開陽台
更衣氷点下の地真夏日へ
急変の花冷えへ泣く八十路なり 東地惠女
陽をあびて影のただよふ水芭蕉
春の川草むらに置くランドセル 小野寺照子
謎解きのやうな眼と眼の春マスク
萼片のひと際赤き杏花 田川君代
さくら咲くさくら堤という小径
幹二つ伸ばして咲けり老い桜 清野きよ子
新茶淹れ礼状の筆走らせる
桜散る余生に消さぬこころざし 小林大雪
ものの芽の今日も膨らむ暮れの春
伝書鳩文芸 俳句
俳句塾きたみ 四月作品
通院も生きる証や風光る 加藤眞
箒目のほどなく消ゆる春の雪
蕗味噌や一夜に野山雪景色 矢田洋子
草団子呼び止められて待たされて
公園の奥より声や鳥交わる 森下佐智子
春一番梢ちから溜めて待つ
教会の鐘の音ながれ春夕焼け 海崎笑子
遠き日の思い出つきぬ日向ぼこ
お絵描きのお日様赤く春の空 森田英子
投函の音確かめり四月の句
朝寝なか工事現場でもめてをり 高橋開陽台
山葵独活行者にんにく蕨畑
蕗味噌の苦さかみしむ夕餉かな 東地惠女
春来るポコポコはずむ園児帽
春塵の壁を貫く僧の経 小野寺照子
七十路の背筋はたしか春の服
若僧のすこし長居の声のどか 田川君代
玉子溶く音のはしやげる春うらら
霾やモンゴル離れ日の本へ 清野きよ子
封切ると赤ペンの文字四月来る
春雪を押し戻したる牛の声 小林大雪
言うことが愚痴に聞こへる春の雪
伝書鳩文芸 俳句
俳句塾きたみ 三月作品
啓蟄や知る人の名お悔やみ欄に 加藤眞
厩だし牛のデッカイ尻を押す
暖かや百寿の女と乗合す 矢田洋子
鴨三羽雪残る山越えにけり
千の鶴なかば折りたる寒九かな 森下佐智子
ひと冬を過ごせし木の芽の固さかな
爽やかに仔馬走るや春の風 海崎笑子
春泥を跳んで競うや下校の子
春めくや庇のしずく線となり 森田英子
雀らをつつむ春寒暮れにけり
水温む親子連れだち新居入る 高橋開陽台
鈴なりの夢見てゴーヤの種下ろす
宝石の輝きに似し冬苺 東地恵女
せせらぎのリズムにのりて猫柳
妻となり母となりても草の餅 小野寺照子
菜の花や厨ににほふ一握り
頬に風野に風の音春めけり 田川君代
卒業子よき名みなもち証書受く
汁椀や出窓育ちの根付き芹 清野きよ子
長生きのまだ見ぬ未来風光る
走り根を洗う雪解けの水ひびく 小林大雪
真夜にきく大和しじみの会話かな
伝書鳩文芸 俳句
俳句塾きたみ 二月作品
ハミングの妻の小声や春近し 加藤眞
冬木の芽友の消えたる庭の黙
朝食のケースに並ぶ寒卵 矢田洋子
初晦日明けて卒寿の誕生日
細枝にひかり集めよ木の芽時 森下佐智子
ひな祭り戦後貧しき我が家にも
猫抱きてうたた寝するも余寒かな 海崎笑子
雪遊び転び笑う子泣きゐる子
雪掻きの疲れ薬湯長きかな 森田英子
寒明けや日差しあふれる植木鉢
網走湖公魚釣りの窓辺より 高橋開陽台
君子蘭まめに給水花芽立つ
雑炊を好みて二人戦中派 東地恵女
新築の園舎に春立つ日差しかな
春吹雪白樺の白霞けり 小野寺照子
恙なく暮らす幸せ春の暮れ
節分や鬼から貰う豆三粒 田川君代
一輪の白梅ゆゑに手に触れず
大寒の田面荒むや風の果 清野きよ子
冬うらら話たらずのドアの外
たましいを寛ろぐ春の音兆す 小林大雪
解け雪のしづくに合わすわが心音
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令和3年 道俳句会北見支部作品一覧
令和3年 道俳句会北見支部(月曜会、水曜会、水無月会)作品一覧
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伝書鳩文芸 俳句
道俳句会北見支部 八月作品
頬ずりの仔牛市場へ夏の朝 渡部彩風
賑やかに花屋の棚や吾亦紅 山崎北郎
密咲けて場所は明かさぬ大花火 渡部三重子
緑陰や歴史を学ぶ野付牛 土門喜楽
里帰り物置と化す夏座敷 浜田艶花
朝庭の元気印は向日葵よ 杉田とよ
ねこじゃらし風に抗うすべ知らず 青木菜々
生身魂次々と出る武勇伝 樽石リカ
蓮花や満面の笑み空に向け 坂井りんご
母の忌や色深めゆく吾亦紅 村井直子
茄子漬や空家に風の吹き渡る 佐竹亮仁
噴水の中の子供ら母見つむ 佐々木美佐雄
校舎まで響く興奮初プール 斉藤のばら
終戦日今も忘れぬ軍歌あり 中村セツ子
墓洗う父の名前をなぞりつつ 国奥純子
コロナ禍や所告げずに遠花火 越智トヨミ
今日ひと日浮かばぬ思案溽暑かな 松田さち子
選手達ひたすら盛夏擦り抜けし 北川ゆみ子
麦秋の空駆けぬけて会いに来よ 田之上征春
伝書鳩文芸 俳句
道俳句会北見支部五月作品
強風や過呼吸ぎみの鯉のぼり 村井直子
師の声の黄泉より届く花筏 渡部彩風
枝ごとに風を招きて雪柳 山崎北郎
たんぽぽの根は漢方としたり顔 渡部三重子
畝ごとにシートの重き春の土 土門喜楽
男泣き夕餉一品山葵かな 浜田艶花
最北へ桜前線たどり着く 杉田とよ
種袋供花になるもの選びおり 青木菜々
羊刈るプロレスの技時々に 樽石リカ
風強き一日にして桜散る 吉崎きえ子
老いてなお鍬持つ姿春田かな 坂井りんご
芝桜白球追いし子らの夢 佐竹亮人
ホールインワンパークゴルフや揚雲雀 佐々木美佐雄
ペダル漕ぐポニーテールや若葉風 斉藤のばら
青き踏む己が気力のよみがえる 中村セツ子
端見えぬ畝をたよりに薯を植う 国奥純子
ピアソンの愛を育む若葉風 松田さち子
母の日の母の笑顔母慕ふ 北川ゆみ子
夏来れば夏の顔して埴輪かな 田之上征春
伝書鳩文芸 俳句
道俳句会北見支部 四月作品
新若布ぱつと華やぐ浅みどり 村井直子
くろ土の田畑の起伏麦青む 渡辺彩風
生き生きとコバルトの空冴え返る 山崎北郎
草萌ゆる眩しき今のままがいい 渡部三重子
入社式わが初陣の名刺かな 土門喜楽
鳥の餌のひまわり蒔きて発芽かな 浜田艶花
沖合の白と青との寒の明け 杉田とよ
苗札のカタカナばかり並びおり 青木菜々
ふきのとう杖なき方の手に一つ 樽石リカ
常呂川広き川辺の忘れ雪 吉崎きえ子
砂ぼこり窓震わせて春疾風 坂井りんご
コロナ禍の何処吹く風や桜吹く 佐竹亮仁
卒業生力任せのボウリング 佐々木美佐雄
退職の派手な見送り山笑う 斉藤のばら
山笑う足の向くまま歩をのばす 中村セツ子
春狭門今はなき家あのあたり 国奥純子
たくましや歩道のひびの蕗の薹 越智トヨミ
母さんと呼んで駆け寄る蕗の薹 松田さち子
早朝の四月の雪は身に堪え 北川ゆみ子
春めきし紅き鼻緒の巫女溜まり 田之上征春
ものの芽や柔らぐ日差し野仏に 田中美津子
伝書鳩文芸 俳句
道俳句会北見支部 三月作品
春愁ひこれは大人の第一歩 村井直子
筑港の海開け近き化粧船 渡部彩風
アポロンを恋うて風船一人旅 山崎北郎
木の芽時素直に聞ける褒め言葉 渡部三重子
検温のかすかな音や春浅し 土門気楽
流氷のかもめ群がる切れ間かな 浜田艶子
早十年忘れないでね春の地震 青木菜々
千本の棒鱈揺する浜の風 樽石リカ
雪しんしん別れのことば無くていい 吉崎きえ子
桜咲く吉野の山よいつか見ん 坂井りんご
水温む孫とじいさん汽車の旅 佐竹亮人
春疾風山を映さぬ富里湖 佐々木美佐雄
被災地の十年早し春の海 斉藤のばら
絶え間なき軒の雫や春の雪 中村セツ子
冴返る靴下を編む母の居て 国奥純子
雪解坂俄か小川に陽が零れ 越智トヨミ
のどけしや鳥語とび交う森の朝 松田さち子
下萌えのピアソン館の景を待つ 北川ゆみ子
観世音白の余寒を手の先に 田之上征春
行く先は大河を目指す川氷 田中美津子
伝書鳩文芸 俳句
道俳句会北見支部 二月作品
再婚の知らせ届くや桃の花 村井直子
枝折れの古木に確と冬木の芽 渡部彩風
流氷の居酒屋に灯の漁師町 山崎北郎
流氷や感嘆の声異国語も 渡部三重子
球児らの闘志燃やして春を待つ 土門喜楽
寒明けや油断ならない水落し 浜田艶花
凍道のあわやの転倒持ちこたえ 杉田とよ
ひらめきの一句忘れし寒波くる 青木奈々
味噌搗きの靴は借り物「とみ子」の名 樽石リカ
朝一やストーブ前の座席とり 坂井りんご
立春の光集めて雀群れ 佐竹亮人
糖業の煙横たう大寒波 佐々木美佐雄
雪しまき大安売りの旗騒ぐ 斉藤のばら
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令和3年 あばしり短歌倶楽部詠草一覧
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バスに乗り郊外路線我一人つい考える会社の採算 多田雅子
遠き日に安らぐ日々を語りたる故郷の友黄泉へ旅立つ 田辺照子
絵筆持ち樹々の緑の豊かさを描きて見たしと呟いてみる 松本節子
病室の窓から見ゆる斜里岳はどんとかまえて吾を笑ふや 水谷良子
一人では楽しめぬとふ友の言ふ亡き息に賜る八重の芍薬 越前江智
「ソフトクリーム食べに行こう」とプチデート誘うも孫はやんわり断る 木曽厚子
寝つかれぬ夜は思い出浮かべ飲むロックグラスの氷結涼し 北田嘉弘
待望の雨をいただく日はいつかじゃがいも街道萎える作物 小林秀子
オリンピック無名の選手の喜びは総身で表し吾も涙す 坂本豊子
キュウリ苗水やり手やり朝朝のかぼちゃの花が目の前に咲き 曽我部育
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供えたる菊に根の出て驚きぬ夫七回忌近づく朝に 曽我部育
老いたれば心と体は反比例良くも悪くも一つの我が身 多田雅子
風鈴に幼き頃のうかびくる夕べの細道遠きふるさと 田辺照子
「あれはどこ?」捜し物から始む朝まだしばらくは吾(われ)を忘れじ 松本節子
我が住みし青き地球はコロナ禍にスーパームーンは赤黒く怒(いか)る 水谷良子
亡き父の儚く終えし鰊漁羅臼の群来の新聞を供う 越前江智
リラ冷えの季節とどまり紫の濃き花庭の角を埋めをり 木曽厚子
緑濃き木立の中に蝉の声輪唱するごと遠く近くに 北田嘉弘
亡き父の竈(かまど)返ると抜きし草ハチジョウナが畑にはびこる 小林秀子
愛犬の細い首には鈴つけて散歩の喜びまろぶがごとし 坂本豊子
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戻り雪の三度降りたるわが庭の草花巡る半纏(はんてん)はほりて 小林秀子
一匹のハエなつくごと犬につき尻尾ふりふり眺めてをりぬ 坂本豊子
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嗚呼友よ花につつまれて永遠の旅へ君の庭では根明け始むに 越前江智
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雪残る山肌流る雪解水土に染みゆき虫も目覚めて 北田嘉弘
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月をみてとなりの星は出かけたの?遊びに来てと孫は言いをり 田辺照子
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