2010年7月 アメリカ音楽療法だより

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カリフォルニア州(USA)で音楽療法を実践している日本人音楽療法士: 米国認定音楽療法士(MT-BC) 武田倫衣子のインターンシップ体験レポートをUP

★☆ 伊賀音楽療法研究会メールマガジン7月号(No.108) ☆★

JMTSPアメリカ音楽療法だより(55)
みなさんこんにちは。メルマガ7月号を担当させていただきます、武田倫衣子です。今回は、私のインターンシップの経験を皆様とシェアさせていただければと思います。特に今後インターンに行かれる方にとって、何かの参考になれば幸いです。

奇しくも、私がインターンをしたのは、先月号のメルマガでロール佑奈さんがご紹介されていた、カリフォルニア州コスタメサにあるFairview Developmental Centerでした。佑奈さんは素晴らしいセラピストで、大変お世話になりました。Fairview Developmental Centerの詳細については、佑奈さんが既に詳しい情報を提供してくださっているので、私はインターンの経験中心に書かせていただきます。

インターンが決定するまでの流れですが、私の場合は大学(University of the Pacific)の生徒で先にインターンに行った人たちの体験談を聞いて、またAmerican Music Therapy Associationのウェブサイトのインターン施設の紹介も参考にし、良さそうだと思った施設をいくつか絞りました。Fairview Developmental Centerは、様々なタイプの障がいのある患者さんと接することができ、また職場の環境もフレンドリーだというお話を聞いて興味を持ち、アプライする前に一度施設を見学させていただくことができました。実際に願書などを出したのは2009年の1月で、結果が来たのは4月でした。面接、オーディションなどはなく、書類審査のみでした。

インターンの期間は2009年6月29日から12月11日で、期間中は月ー金8時から4時半までの勤務時間プラス、それ以外に80時間のボランディアをこなすという決まりでした。ボランティアは、施設内での様々なアクティビティ(遠足、ダンスパ~夜にかけてや週末もそのようなアクティビティやクラスをやっていたりするので、特に問題なく消化できました。Fairviewでのインターンシップ全般に関して言えることは、スーパバイザーが細かく指示を出すというよりも、ほとんどインターン自身で決めて、わからないところはスーパバイザーに聞く、というスタイルだということです。

細かいことを言われることがほどんどないので、マイペースでやりやすい反面、緻密なスーパーヴィジョンが欲しい方は多少物足りなく感じるかもしれません。インターンが始まってから6週間ぐらいの間は、施設内の見学、他のミュージックセラピストのセッションの見学、自分自身のセッションのスケジュールの制作、ペーパー3つ(音楽療法に関するArticleの要約、一つのArticleにつき2~3ページ程度)が主な課題でした。Fairviewは年間を通じて患者さんのためのいろいろなイベントが多いのですが、私がインターンを始めた夏頃は、7月4日の花火大会、カーニバル、スペシャルオリンピック(患者さんたちのためのスポーツ大会)があり、最初のころはほとんどそれらの手伝いをしていました。自分自身のセッションのスケジュールについては、自分で施設内の各プログラムの責任者に連絡を取り、何曜日の何時からミュージックセラピーのクラスをしたいというふうに決めていきました。インターンは、一週間に20時間以上のセッションを持つことが義務づけられており、単独でも、他のMTの方とのコ・リーディングでもOKでした。私は、比較的心身の障がいが重いSkilled nursing setting のティーンエイジャーから大人のグループセッション、比較的障がいの程度が軽いティーンエイジャーからOlder Adultsのグループセッションに加え、比較的重度の心身障がいがある大人の女性の個人セッションをやらせていただきました。ほとんどの場合、それぞれの患者さんのいるユニットのスタッフメンバーが協力的で、セッション自体はやりやすかったと思います。ただ、ユニットによってはスケジュールが急に変わることが多く、いわゆるドタキャンも多かったのですが、だんだん「これがFairviewのペースなんだな」と慣れていきました。

私がセッションに関して一番大変だと思ったことは、患者さんをクラスルームに移動させることでした。車いすもかなり大きく重いものが多く、更に酸素のタンクなどがついていることもあり、最初の頃は車いすを押すたびにぐったりと疲れていました。また、自分で歩ける患者さんでも、なかなかすんなりとクラスまで歩いてくれなかったり、目の不自由な方もいたりしたので、複数の患者さんを一人でエレベーターに乗せて移動させるのは特に大変でした。

インターン中は、ミッドタームとファイナルエバリュエーションがあり、他の5人のMTの方たち及びインターンシップディレクターに自分のセッションを見学してもらって細かく評価してもらいました。また、プレゼンテーションの課題が3つあり、そのうち二つはコミュニティプレゼンテーションといって、施設外(学校、教会など、自分で探す)で、音楽療法についての紹介をするというもので、残りの一つは施設内で40分程度、音楽療法に関するテーマについて(何でもいい)プレゼンをします。あとは、Final projectとしてのペーパー(自分のセッション中におけるプロジェクトについて。基本的に何をやってもいい。10~15枚程度)があります。これは、プログラムディレクターにドラフトを提出すると、とても丁寧に文法を治してくれるので、ノンネイティブのインターンには嬉しいところです。

Fairviewには、私を含めてノンネイティブのインターンも過去に数多く在籍していたようで、留学生にも比較的なじみやすい環境だと思います。過去には一度に複数のインターンをとっていたこともあるようですが、ここ数年は、一期につき一人のインターンしかとらないようです。また、気になるStipendとHousingですが、私のときはHousingの世話はなく、3ヶ月分だけStipendが支給されました。しかし、カリフォルニアの経済状況の更なる悪化に伴って、私の後のインターンには全く何も出なかったそうです。この点がちょっと残念ですが、私個人としては、Fairviewでインターンができたことはとても幸運なことだったと思います。自分一人で動くことが苦にならない人、どちらかと言えばリラックスした雰囲気のなかでマイペースでインターンがしたいという人、そして、心身障がいのある患者さんに関心のある人には、特に向いていると思います。

もし何かご質問などありましたら、以下の連絡先までメールしてください。読んでいただいてありがとうございました。武田 倫衣子 MT-BC

 
[編集後記]
伊賀音楽療法研究会も結成10周年が過ぎ、これまで、伊賀市社会福祉協議会認定ミュージックコーディネーターという認定資格を使っていましたが、ミュージックコーディネーターという名称が音楽療法士とどう違うのか説明が難しいため、名称を変更しようという動きが出ています。設立当初は、社会福祉協議会が中心となって独自の認定資格を作りましたが、現在は、伊賀音楽療法研究会も成長し、日本音楽療法学会認定音楽療法士も多数在籍しています。編集長の個人的見解としては、「伊賀音楽療法研究会認定音楽療法士」という名称を使ってもいいのではないかと考えています。10年前の想定では、いずれ音楽療法士が国家資格化されるから、それまでの間の民間認定として資質を担保するために暫定的に作られるべき資格と考えていました。しかし、10年経った今でも国家資格化は実現せず、音楽療法士養成にも翳りが見え始めている今日、地方都市における音楽療法実践は、新たなステージを模索し始めないといけない段階に来ているのではないでしょうか。あの奈良市における先駆的音楽療法実践が事業仕分けのまな板に乗るという事態からも、音楽療法は新たなスタンダードを必要としているように思えてなりません。

伊賀音楽療法研究会メールマガジン編集室
〒518-0869 三重県伊賀市上野中町2976-1上野ふれあいプラザ3階
伊賀市社会福祉協議会 
電話番号 0595-21-5866 FAX番号 0595-26-0002
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※ JMTSP関連リンク
JMTSPは、世界各国で音楽療法を勉強、または実践している日本人学生と音楽療法士、また世界の音楽療法に興味を持つ方々の情報交換場所として設立されました。(Japanese Music Therapy Students & Professinals)
公式ホームページ http://www.geocities.jp/jmtsp2004/
jmtspのブログ http://ameblo.jp/jmtsp/

 
※ ミュージックセラピー関連エントリー(美幌音楽人 加藤雅夫)
・ JMTSP アメリカ音楽療法だより 9月
http://masaokato.jp/2009/09/17/004224
・ 2010年 アメリカ音楽療法だより
http://masaokato.jp/2010/02/16/114340
・ 2010年3月 アメリカ音楽療法だより
http://masaokato.jp/2010/02/16/114340#comment-1817
・ アメリカからの手紙(日本人の音楽療法士)
http://masaokato.jp/2010/04/26/071000
・ 2010年5月 アメリカ音楽療法だより
http://masaokato.jp/2010/05/30/063818

All to music therapist: Masao Kato (Japan)
・ 癒し音楽(α波)、最良のリラクゼーション(Relaxation)
http://masaokato.jp/2010/05/06/012331

 
※ Twitter
・ 加藤 雅夫 (bihorokato) on Twitter
http://twitter.com/bihorokato

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